店の前に長蛇の列ができていたのは、フランス・パリの老舗デパート「ベー・アッシュ・ヴェー・マレ」。
開店時間を迎えると、待ちかねたお客さんが続々と店内に入っていきました。
中国の大手衣料通販サイト「SHEIN」の商品がその場で購入できる、世界初の常設店舗がパリにオープンしました。
訪れた人たちは「格安だから来たの。経済的に余裕がないからここで買うの」「物価はどんどん上がるのに給料は上がらない。安くて気にいった物が手に入るなら、私はこの店を選びます」と話しました。
シンガポールに本社を置き、製品の多くを中国で生産している「SHEIN」。
サイトを見ると、パーカが1300円ほど。
30点セットのアクセサリーが400円台で買えるなど、圧倒的な安さと豊富な品ぞろえで、日本でも利用者が拡大しています。
「安いし、届くの早い。種類がめっちゃある」「2、3着ぐらいだったら失敗してもいいかなって」「このきょうはいてるズボンもSHEINで、いつもは“全身SHEIN”とかもある」と、若い世代から支持を集める一方で、「(Q.“SHEIN”というサイトは)知ってます。(Q.買ったことは)ないです。安すぎて信用できない」「写真と違って届いたらペラペラとか、『何これ?』みたいな、結構はずれはある」といった声も聞かれました。
そして、パリではSHEINが老舗デパートに出店することを巡り、物議を醸す事態となっていました。
「SHEIN」が労働者に劣悪な条件を強いたり、環境への悪影響も指摘されていることから、デパートの前には抗議する人たちが集まりました。
店内に入り込みプラカードを掲げて抗議した人たちが、ガードマンに排除される場面も見られました。
さらに、デパートの複数のブランドが抗議の意志を示し撤退するなど、影響が広がっています。
抗議する人は「誰もが高級品を買えるわけではないが、商品はきちんと選ぶべき」「SHEINのように、品質も価値観もあらゆる面で問題があるブランドが存在すること自体、私は本当に恥ずべき事だと思う」と話しました。
また11月1日、フランスの規制当局はSHEINが販売していた商品の中に、「規制対象となる幼女の人形」を確認したと発表。
当局は「児童ポルノにあたることは疑いの余地がない」と指摘し、政府はSHEINの通販サイトを一時的に停止する手続きを始めました。
華々しい店舗オープンの一方で起きていたパリ市民の反発。
フジテレビ・立石修元パリ支局長:
このBHVというデパートは、1800年代につくられたパリの古き良き伝統や文化を象徴する存在なんです。そこに中国の超大型ファストファッションが乗り込んできた。それに対する警戒感や嫌悪感を抱くパリ市民もいると思います。ただ一方で、安価な価格っていうのは生活の苦しい賃金の上がらない若者とか、移民の人たち、そういった方々にとって非常に魅力的に映る。だからこのような混乱というか、矛盾が起きているのではないかと思う。