西九州新幹線の開業に伴い並行在来線となったJR長崎本線は特急列車の本数が3分の1以下に激減した。今後さらに減らされる見通しに危機感を抱く沿線の自治体と県は特急の運行本数の維持をJR九州に申し入れた。
新幹線開業前の3分の1以下なのに…
11月4日、JR九州に申し入れをしたのは、佐賀県と長崎本線沿線の鹿島市、太良町、江北町、白石町の4市町。
JR長崎本線の江北-諫早間は、西九州新幹線の開業に伴い並行在来線となったことで、特急列車の運行は上下14本と開業前の3分の1以下に激減した。

並行在来線の特急列車の運行本数は今後さらに減少する見通しで、沿線の自治体は危機感を抱いている。
特急列車の本数 せめて現状維持を
このため並行在来線沿線の4市町と県は特急の運行本数を維持するようJR九州に申し入れた。

鹿島市 松尾勝利市長:
地域公共交通はものすごく大事なことなんですよ。今後の街づくりの存亡にも関わってくるということで、ぜひ現状のまま(の運行本数)という思いをJR側に伝えた

佐賀県地域交流部 寺田博文部長:
(JR九州の)古宮社長の会見で、「特急かささぎ」の(本数)見直しに言及された。さらに強い形での地元の声というものを届けていく、申入れをしていくことが必要だと思っている
JR九州「他の利便性向上にあてる」
申し入れ書を受け取ったJR九州の貞苅路也常務は、「特急の利用客は1日300人程度と非常に少なく、他の利用客の利便性向上に輸送力をあてることが適切」などと応じた。

長崎本線の特急本数について、JR九州の古宮社長は今年(2025年)8月に行われた会見で「来春のダイヤ改正に向け社内で議論している」と述べている。

西九州新幹線開業から3年経っても「新鳥栖-武雄温泉」間の整備方式やルートは決まっておらず利用客からは不便さを指摘する声が聞かれる。

一方、並行在来線の沿線では「新幹線の恩恵は全然受けていない」と不満を口にする住民も多く、九州新幹線長崎ルートに絡む課題は山積している。
