ガソリン免税認めない対策も
FNNの報道を受け、外交特権による踏み倒しを防ぐため、外務省は2021年に対策を打ち出した。常習的な違反で、違反金の支払いに応じない場合、外交官のみに許されるガソリン免税を認めないという内容だ。
以降、外交官ナンバーの駐車違反の件数は減少傾向にあるが、いまも東京都心などで、違反を目撃することがある。

記者:
外交官ナンバーの車が駐車違反をしています。大通りでカーブになっているので、ちょっと危ないですね。車よけるように右を走っています。
スーパーでの買い出しから戻ってきた運転手は…。
記者:
日本政府の対抗措置を知っていますか?ガソリン(免税)証明書が得られなくなる
運転手:
あー!ごめんなさい。
運転手は、この後「次は気をつける」と言って、車で去って行った。
政府の対抗策を“無視”
FNNが情報公開請求で外務省から新たに入手した文書によると、外交官ナンバーの車による常習的な放置駐車違反64件について、国内の大使館に対し、対抗措置を示したうえで速やかに違反金を支払うよう求めている。

しかし、外務省によると、およそ4分の1(23%)の15件について、支払いに応じなかったという。
日本の対抗策が無視された形だ。

文書では、国名について「相手国との信頼関係を損なう恐れがある」として、黒く隠されている。
休日の特権悪用疑いも…
記載された日付から、違反の頻度についても明らかになった。
ある国の外交官ナンバーは、東京で2ヶ月間に4回、放置駐車違反を繰り返していた。また、ある領事館の車は、大阪と兵庫で、半年で4件の違反を繰り返し、うち3件は、土曜日だった。
それぞれの違反(310件)を分析したところ、土曜日が最も多く、3分の1(108件)が、「土曜・日曜・祝日」だったことも分かり、プライベートでの特権悪用の疑いも浮上した。

求められる効果的な対策
ウィーン条約は、外交特権の目的を「個人に利益を与えることにあるのではない」としているが、悪用してもお咎めがある訳ではないため、条約自体にも問題があるともいえる。
踏み倒しについて外務省は、「ほとんどの国が支払うようになっている」としつつ、「今後の措置についてはいかなる方策が効果的なのかとの観点から、不断に検討して行きたい」とコメントした。
海外では踏み倒しに対し、プレートの返還を求めるという強力な対抗策で、ほぼ解消したケースもある。外務省には、より実効性の高い対応が求められている。
(「イット!」11月3日放送より)
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