2017年に長野県小布施町に移住したイギリス出身のチャーチ・ポールさん。「激辛」好きが高じてトウガラシ農園をオープンし、ピクルスなどの加工品も販売しています。「町の新たな名物にしたい」と妻と一緒に奮闘しています。
10月12日、上田市で開かれた「信州辛辛フェスタ」。寒さが増し食べたくなってくるのが「激辛メニュー」。
訪れた人:
「ブワっと汗が額から出てきます」
会場には激辛の「ジャークチキン」など信州の「辛い」グルメが集まりました。
中でも「辛い」と評判だったのが―。
店員:
「よく混ぜてお召し上がりください」
高山村の「GOOD MOUNTAINS」の限定メニュー「辛辛まぜそば」です。汁なし麺にアメリカ生まれの激辛トウガラシ「キャロライナ・リーパー」をトッピング。
横浜市から:
「うまいです。辛い」
辛い物好きのこちらの男性は―。
横浜市から:
「日本のトウガラシより、辛み、痛みが強い」
大量の汗が―。
食べ進めていくと顔から汗が吹き出します。
横浜市から:
「いい汗かきました」
「まぜそば」に使ったトウガラシはこの日、ブースも出展した「小布施とうがらし園」で栽培したもの。
小布施とうがらし園 チャーチ・ポールさん:
「パクパク食べれる辛さ、ハバネロは。次のレベルは激辛」
農園の代表はイギリス出身のチャーチ・ポールさん(46)です。
激辛好きが高じて、妻の敦子さん(41)と2人で「激辛トウガラシ」を栽培しています。
2022年にオープンした「小布施とうがらし園」。
小布施とうがらし園 チャーチ・ポールさん:
「これは『キャロライナ・リーパー』というアメリカのトウガラシです。これは世界で2位の辛いものです」
「まぜそば」に使った「キャロライナ・リーパー」は何と「世界で2番目に辛い」そうです。
この他にも、過去「世界一辛い」としてギネス記録になった「ブート・ジョロキア」や「トリニダード・モルガ・スコーピオン」も栽培。(※現在はギネス記録ではありません)
町内に2つの畑を借り、中辛から激辛まで15種類400株を育てています。
「辛さはそれほどでもない」という「レモンドロップ」という品種を記者が試食するとー
(記者リポート)
「シャキシャキ。あ、辛い。辛いんですけど、みずみずしくてフルーティーさもあって」
小布施とうがらし園 チャーチ・ポールさん:
「(見た目が)デコボコのトウガラシは激辛、これはスベスベだから中辛です」
続いて、「世界で2番目の辛さ」「キャロライナ・リーパー」も試食。食べ過ぎは「危険」なため小さくカットして食べてみると―。
(記者リポート)
「うん、まだ来ないですね」
小布施とうがらし園 チャーチ・ポールさん:
「(辛さは)後から来る」
(記者リポート)
「あー、辛いですね。あー辛い。刺すような痛み、辛さと共に、燃えるように熱いですね、口の中が」
記者:
「生で食べることありますか?」
チャーチ・ポールさん:
「生で食べたことありますよ。おいしいと思います、私は辛いもの大好きだから」
これまで農業の経験はなかったというポールさん。なぜ、小布施町で激辛トウガラシを育てるようになったのでしょうか。
チャーチ・ポールさん:
「イギリスでは激辛インドカレーは有名なもの、イギリス人は辛いもの大好き。でも日本に来て辛いものはあまりないから、自分で作ろうと思った」
ポールさんはイギリスで合気道を習っていたことが縁で20年ほど前に来日。日本の環境が気に入り、そのまま移住しました。
その後、東京の英語学校で講師をしていたときにスタッフだった敦子さんと知り合い、2012年に結婚。子どもが生まれ子育てしやすい環境を求めて2017年に敦子さんの実家がある小布施町に移住しました。
チャーチ・ポールさん:
「新しいことを勉強したい。小布施に引っ越して、農業も面白いと思ったからトウガラシをやってみようと思った」
妻・敦子さん:
「おかしなこと始めたな、とは思っていました。趣味が多くいろんなことやっているので、そのうちの一つなのかなと見守っていたが、こんなに大きくなるとは思っていませんでした」
まずは「自分で食べたい」と作っていましたが、徐々に種類が増え農園も大きくなっていきます。
チャーチ・ポールさん:
「(農園も)だんだん大きくなって周りの人も食べたいと言われたので、商品も作るようになった」
加工品にも力を入れるようになりました。
自家製ハラペーニョを酢などで漬けた「ピクルス」に、刻んだハラペーニョとハバネロをたっぷり使用した「旨辛味噌」。2種類の乾燥トウガラシに、柚子、クルミなどをブレンドした「七味」。激辛のハバネロを粉末にした「一味」なども販売しています。
この調味料を使ったオススメ料理を敦子さんに紹介してもらいました。
まず1品目は焼きおにぎり。「旨辛味噌」を具に使います。熱したごま油で両面しっかりと焼き目をつければ完成。
記者が試食―。
(記者リポート)
「ピリっとした辛さの中にみそのコクを感じます。この辛さがお米の甘味を引き立てています。とてもおいしいです」
続いては「むかごの甘辛炒め」。サトイモの新芽の部分の「むかご」を油で柔らかくなるまで炒めたら、しょうゆ、みりん、砂糖を加えて味をつけます。水溶き片栗粉でとろみをつけ皿に移したら、仕上げに、それぞれ「ゆず七味」と、「激辛の一味」を振りかければ完成です。
「ゆず七味」を試食―。
(記者リポート)
「トウガラシの辛さ以外にもいろいろな風味を感じられて、とても味付けと合います」
「一味」を試食―。
(記者リポート)
「これは辛みが来ました」「七味唐辛子と比べるとピリっとした辛みが強いんですが、それがすごくいいアクセントになっていて、とてもおいしいです」
妻・敦子さん:
「激辛好きだけでなく、どんな人でも楽しめるおいしさを届けたい。辛いだけじゃないおいしさにこだわって作っています」