さまざまな料理に使われる卵の高騰が続いています。2025年の夏以降は、「エッグショック」と呼ばれた2年前の価格を上回っていて、飲食店やスーパーでは困惑の声が上がっています。

■人気のオムライスに…「エッグショック」が直撃
フレンチの店などでおよそ20年経験を積んだオーナーシェフが作る、絶品オムライス。名古屋・覚王山にあるハンバーグとオムライスの店「KITCHEN Tari−Tari」。

客の7割が注文するのが「オムライス」で、11種類ありますが、中でも名物は「ハンバーグオムライス」です。
バターライスの上に、黒毛和牛と愛知県産もち豚のあらびきハンバーグをのせ、卵3個を使ってとろとろに仕上げる職人技のオムライスです。
客の目の前でパカっと割って、上から赤ワインを煮込んで作るデミグラスソースをたっぷりとかける、見た目も味もこだわった逸品です。

客ら:
「ふわふわの卵と肉肉しいハンバーグ、おいしいです」
「デミグラスソースがめちゃくちゃおいしいですね」

しかし、店のSNSの動画には「厳しいっ!きちぃっす!」とオーナーの嘆きの声が…。いま、頭を悩ませているのが「エッグショック」です。
伊藤康平オーナーシェフ:
「価格の高騰ですね。卵がここまで上がってくると、卵の量を減らすわけにもいかないですし」
店では1日あたり多い日で150個、1カ月ではおよそ80キロ使うと言います。

伊藤康平オーナーシェフ:
「(7カ月前の)開業当初は1ケース10キロで3600円だったところ、この半年で4500円、20%ぐらいは値上げしている」
卵は、高騰でエッグショックと言われた2023年をやや下回る価格で推移してきましたが、夏以降はそれを上回る価格で推移しています。

卵価格に加え、コメなど様々な食品の価格も高騰しています。さらにこの先、卵の需要が増える年末年始を前に、やむを得ず値上げを検討しているといいます。
伊藤康平オーナーシェフ:
「量を減らす方法もありますけど、商品価値を下げることになりますし、お腹いっぱいになってほしいという自分の気持ちに反する形になってしまうので。『10月に値上げ』という店舗をよく耳にするので、『そりゃそうだろう』と思いますね。全商品50円ぐらいの幅で上げなきゃいけないかな」
■高値だけでなく「品不足」も…猛暑も一因に
名古屋市千種区にあるスーパー「サンエース」では、卵コーナーの一部に、商品が並んでいません。
サンエース春岡店の担当者:
「卵の注文が、2~3年前だと前日でも対応してくださった卵もあるんですが、今では限りなくなくなっておりまして」
商品によっては、1カ月前に注文をしてやっと店頭に並ぶこともあります。

こちらの店では、2024年は1パック10個入り税込み215円で販売をしていましたが、きょうは税込み302円と、2割から3割ほど高騰しているといいます。
客ら:
「いつもより高いね。少しだけ上がったかね。大体いつも298円くらいが1番高い」
「買いにくいと思うけど、いるときは仕方がないね」
今なぜ、卵の高騰が起きているのでしょうか…。
ホウトク農場の豊村三弘代表:
「昨シーズンの鳥インフルエンザの影響で、鳥が殺処分されてしまったことが大きいんですが、それに尾を引いてこの夏は猛暑が長く続いたので、だいぶ生産量が落ちているという面もあると思います」
■クリスマスを前に…心配は「鳥インフル」
需要が高まる年末年始に向け、今後、卵の価格はさらに上がるのでしょうか。
名古屋のたまごの価格は、2年前の「エッグショック」の頃よりも、夏以降は高値が続いていて、2025年10月は1キロあたりの基準値が50円以上も高くなっています。
昨シーズンの鳥インフルエンザで多くの鳥が殺処分されてしまったことに加え、猛暑で夏バテしたため生産量が減ったことが、大きな原因です。
さらに北海道白老町の養鶏場で、今シーズン全国で初の鳥インフルエンザの陽性が確認され、およそ46万羽が殺処分されます。

年末にかけて「クリスマスシーズン」を迎え、卵の需要も増えますが、価格はさらに上がるのでしょうか?
木原官房長官は22日の会見で「年末に向けて、卵の引き合いが強くなることも想定されるため、発生予防、まん延防止の徹底につとめたい」と話しました。
これから渡り鳥のシーズンを迎えることから、鈴木憲和農水相は「今後、全国どこで発生してもおかしくない状況です」と話しています。