旅行をしながら報酬も得られる、そんな旅の仕方が人気を集めていると言います。
その名も「おてつたび」。『お手伝い』と『旅』からきている言葉で、参加者は農作業などさまざまな地域の手伝いをしつつ、宿泊費無料(一部例外も)で観光を楽しみ、報酬も得られるという仕組みです。
秦令欧奈アナウンサーが「おてつたび」を体験取材し、その魅力を探りました。
■「おてつたび」ってなに?秦アナが突撃取材!
【秦令欧奈アナウンサー】「おはようございます」
【ディレクター】「今日どうしたんですか、その格好」
【秦令欧奈アナウンサー】「今日は旅行ロケと聞いたので、ちょっと旅行っぽい装いを意識しました」
サングラスもかけてすっかり旅行気分な秦アナ。
【ディレクター】「今日は秦くんに『おてつたび』をしてもらいます」
【秦令欧奈アナウンサー】「『おてつたび』ですか? ”鉄”を取りに行くとかですか?」
何も聞かされないまま移動すると、のどかな農園風景が広がる、奈良・天理市萱生町に到着しました。
■お手伝い+旅=「おてつたび」
【秦令欧奈アナウンサー】「おてつたびって何ですか?」
【おてつたび広報PR 園田さん】「おてつたびは『お手伝い』と『旅』を合わせた『おてつたび』という言葉になります」
【秦令欧奈アナウンサー】「お手伝いの『おてつ』。そういうことか!何をお手伝いするんですか?」
【おてつたび広報PR 園田さん】「地域のお手伝いをしながら、旅ができるサービスが『おてつたび』で、旅先でアルバイトをしながら旅も楽しめちゃう」
【秦令欧奈アナウンサー】「なるほどー!」
「おてつたび」は、泊まり込みで働いて報酬を得ながら、空いた時間にその地域を旅行できるサービスです。
サイトを通じて受け入れ先と希望者がマッチングすれば成立。
交通費は自腹ですが、宿泊場所は受け入れ先が用意してくれて、なんと無料!
近年では50代以上の参加者がおよそ29%を占め、中高年やシニア世代に大人気なんです。
■4年連続のリピーターも!友達もできる
今回は「おてつたび」に参加している2人の女性に密着取材しました。
【秦令欧奈アナウンサー】「どうして今回は『おてつたび』参加されたんですか?」
【山田孝子さん(56)】「私は4年連続4回目なので、この時期はここに来るっていうのが毎年恒例なんです。彼女とは去年ここで知り合って」
【秦令欧奈アナウンサー】「じゃあ、2年連続ってことですか?」
【梅澤梓さん(42)】「私も農業とか果物の収穫に興味があって、採っていただけたので。去年来て姉さんとも仲良くなったので。兵庫から来てるんですけど、東京から兵庫に引っ越してきて誰も友達がいなかった中で、最初にできた友達が『おてつたび』で奈良」
■”人手不足”にマッチ「おてつたび」
今回のお仕事は、奈良県天理市萱生(かよう)地域の名産「刀根早生柿(とねわせがき)」の収穫です。
まろやかな甘味と四角い形が特徴で、天理市発祥のブランド柿です。
【秦令欧奈アナウンサー】「どうしておてつたび募集され始めたんですか?」
【山中章弘農園・代表 山中さん】「人手不足。昔は近くにいてる人でも専業主婦いらっしゃったけど、今の時代みんな働いているから。
『この時期だけ来てください』っていう人がほとんどいなくなって、天理市も協力してくれて『おてつたび』やって、ことしで4年目かな」
時給は10月現在の奈良県の最低賃金である986円です。
柿の収穫は今がまさにピーク。こちらの農園では毎年30トン以上の柿を出荷しているそうです。
■秦アナも柿の収穫に挑戦!
秦アナも柿の収穫に挑戦します!
【秦令欧奈アナウンサー】「柿を絶対に傷つけないように。ふぉっ!切れました!」
他の柿に刺さるので、茎とつながった部分を根本から切ります。
【秦令欧奈アナウンサー】「記念すべき1個目を採れました」
【梅澤梓さん】「いっぱい採ってください」
【秦令欧奈アナウンサー】「そうですよね、1個に時間かけてたら何の戦力にもならないので、じゃんじゃん引き続き行かせていただきます」
作業に没頭する秦アナですが、思った以上に大変な様子。
【秦令欧奈アナウンサー】「作業が始まってまだ30分も経ってないぐらいなんですが、かなり疲弊しております。キツイです、結構。すごいよみなさん」
■人手が必要な時だけお願いできる「おてつたび」
作業開始から1時間、ひとまず休憩。
【おてつたびで参加する女性】「今人手足りてないからずっと来てくれたら助かります」
【山中章弘農園・代表 山中さん】「そんなにいつもいつもたくさんいらなくて、それこそ色づいた瞬間に一斉に採りたいから」
【秦令欧奈アナウンサー】「ずっといられても困るし、この時期にぱっと人手が欲しいっていう。『おてつたび』さん、グッドマッチング」
【おてつたびで参加する女性】「ここの農園はリピーターが多いんです。みんなリピーター」
【秦令欧奈アナウンサー】「毎年来たい理由はあるんですか?」
【おてつたびリピーター 竹内さん】「やっぱこういう感じがね」
【秦令欧奈アナウンサー】「この空気感が。僕も来年来ようかな」
【山中章弘農園・代表 山中さん】「よかったら『おてつたび』で来たら?」
■人との繋がりがなによりの「おてつたび」の魅力
午前中の作業を終え、みんなでお昼ご飯を食べながらお話を聞くと、「おてつたび」ならではのエピソードが語られました。
【おてつたびリピーター 竹内さん】「『おてつたび』で出会った人に色々情報とか名前とか書いてもらったり。『おてつたび』は27回参加。そういうのが楽しいから」
【梅澤梓さん】「人との出会いとか、その地域を見て回れたりとか」
【山田孝子さん】「効率よく稼ごうと思ったら、リゾートバイトの方がガッツリ稼げるんですよ。でもここに来るのは、ガッツリ稼ぐのが目的じゃなくて、吉田さんとか、『また来年ねー』って出会いを求めて来てるから」
『おてつたび』で出会った梅澤さんとは意気投合し、プライベートで旅行に行く仲になったんだとか。
【梅澤梓さん】「長く仲良くしてくれたら嬉しいなって思っております」
【秦令欧奈アナウンサー】「お互いに顔を見合わせて、デレデレされてる」
【山田孝子さん】「歳の離れた人と出会うのってなかなかないから、私も妹ができたみたいで嬉しい」
【梅澤梓さん】「前回の旅は、孝子姉さんと出会うためにあった旅なんじゃないかなって私は思いました」
■仕事終わりの絶品「柿」に秦アナ感動
午後からは工場で仕分け作業。サイズごとに分けた柿を箱詰めしていきます。
お手伝い開始から5時間、頑張った秦アナにはご褒美の柿が!
【秦令欧奈アナウンサー】「あまっ!めちゃくちゃ甘いですね!噛んですぐ、鼻に『ふわーっ』て爽やかな香りが抜けていくんですよ。特有のぬめりみたいなものが少なくて、どちらかというとジューシーに近い食感」
【山田孝子さん】「食べるたびに美味しい」
【梅澤梓さん】「毎年美味しい、一口ずつ美味しい」
夕方5時にこの日のお手伝いは終了。
ちなみに山田さんと梅澤さんの2人は今回、23日間の「おてつたび」に参加して、およそ13万円を受け取るそうです。
■「おてつたび」は夢をかなえるツール
仕事終わりにはみんなで高台に登り、夕暮れの絶景を眺めながら一日の疲れを癒しました。
【秦令欧奈アナウンサー】「うわ~気持ちいい!」
そのまま、みんなで頂上で乾杯!秦アナも仕事終わりのビールを美味しそうに飲んでいます。
【秦令欧奈アナウンサー】「今後の夢とか何かありますか?」
【梅澤梓さん】「農業はできたから、今度は漁業とか他の産業の仕事も見てみたかったり、他の仕事の人たちとも出会ってみたいなと思ったりしてますね」
【山田孝子さん】「暮らすように旅するのが好きで、『おてつたび』が暮らすように旅する感じ。ただ2泊3日でパッケージツアーで旅行に行くんじゃなくて、出会いとか経験を求めて、それを続けたいなって思いますね」
【秦令欧奈アナウンサー】「こういうことが夢だった?」
【山田孝子さん】「夢というより、いま夢をして、ドリームカムトゥルーになってる感じ」
【秦令欧奈アナウンサー】「なるほど!みなさんすごく幸せそうに見える」
【山田孝子さん】「楽しくやってますね。幸せ度が高い人たちが多いかも」
お仕事をしながら新しい場所で新たな出会いを楽しむ「おてつたび」。
みなさんもワクワクする旅の選択肢の1つとして考えてみてはいかがでしょうか?
(関西テレビ「newsランナー」2025年10月17日放送)