甘辛い香りが食欲を刺激するウナギ。
その国際取引の規制対象を巡るEUの提案にワシントン条約事務局がある評価を示したことで、今後の価格上昇が心配されています。

17日、「イット!」取材班が訪ねたのは、ウナギ街道とも呼ばれる千葉・成田山の参道にある「うなぎ新川本店」です。

ウナギ問屋の直営店でもある店では、国産をはじめ、中国や台湾などから輸入した二ホンウナギを仕入れて販売しています。

うなぎ新川・西勝光治社長:
余計値段が上がると思いますよね。たぶん客離れが起きると思います。

値段が上がり、客も離れる。
その不安の背景にあるのが、野生生物の国際取引を規制するワシントン条約です。

EU・ヨーロッパ連合は2025年6月、ヨーロッパウナギだけでなく二ホンウナギを含む全ての種類を国際取引の規制対象にすべきだと提案しました。

これに対し、日本側は二ホンウナギの資源量は回復傾向にあると反論。

しかし、ワシントン条約事務局は10月15日、EUの提案について「採択を勧告する」との最終評価を公表したのです。

気になる価格への影響について、日本鰻輸入組合はFNNの取材に「中国など輸出側で許可証が必要になり、そのコストが輸入価格に上乗せされる可能性がある」とコメントしました。

価格上昇に対する不安の声は、人気のチェーン店「鰻の成瀬」でも聞かれました。
この店では、うな重を1600円からというリーズナブルな価格で食べることができるのですが…。

鰻の成瀬・山本昌弘代表:
どうしても値上げせざるを得なくなる。ウナギがよりハードルの高いものになってしまう。

きっかけとなったEU提案の規制対象には、かば焼きなどの加工品も含まれています。

もし採択されれば、スーパーなどで販売されているかば焼きなどの価格への影響も懸念されます。

こうした中、小泉農水相は17日朝、規制強化を阻止するため全力を尽くす考えを示しました。

小泉農水相:
我が国としては、ウナギ属全種の「附属書2」への掲載には反対。11月の締約国会議に向けて、引き続き我が国の立場への理解が加盟国に広がるように、関係国と連携しながら全力を尽くしていく所存です。

焦点となるウナギの国際取引規制案は、11月末から開かれる締約国会議で協議されます。

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