長野県は10月5日、多頭繁殖によって民家で増え過ぎたウサギの緊急譲渡会を開いた。参加者は、飼育の注意点などを学び新たな家族の一員として迎え入れたようだ。
2匹飼っていたのが、いつの間に…
元気に牧草を食べるウサギの「おはぎ」。
10月5日、佐久市の工藤さん家族に迎え入れられ、新たな生活をスタートさせた。
この数時間前、「おはぎ」がいたのは、長野県が開いた「緊急譲渡会」の会場。
ケージの中にいるのは、すべて伊那保健所管内の民家で「多頭繁殖」したウサギ。55匹にまで増えたウサギのうち「おはぎ」を含む48匹を飼い主と相談の上、県が保護した。
飼い主によると、「もともと2匹飼っていたのが、いつの間にか増えてしまった」という。

健康状態に問題はなく、特例で「県内初のウサギの譲渡会」を開くことにした。
10月5日の「譲渡会」には18組が訪れた。
注意すべきは「繁殖力」
県健康福祉部 乳肉・動物衛生係長 及川悦子さん:
「ウサギの快適な温度は15~23℃。夏だとエアコン、冬だと場合によっては暖房」
適正に飼育してほしいと会に先立ち「飼い方教室」も開いた。
大切なのは前歯の手入れ。1カ月で1センチほど伸びるため、牧草などの硬いエサを与え、動物病院での手入れが必要な場合もある。

県健康福祉部 乳肉・動物衛生係長・及川悦子さん:
「それが管理できないとウサギがごはんを食べたくても、食べられない状態になります」
さらに、注意すべきは「繁殖力」。
県健康福祉部 乳肉・動物衛生係長・及川悦子さん:
「ウサギの妊娠期間は1カ月です。妊娠したら1カ月後に産まれてしまう。どんどん産まれると、1年に7回から8回、お産ができちゃうよと」

ウサギはネコ以上に繁殖力が強くオス・メスを分けて飼育するか、不妊・去勢手術が必要だ。
参加者はこうした注意点を学んだ上で、ウサギと対面した。
「幸せにしてあげたい」
子ども(伊那市内から):
「モフモフしてるところがかわいいと思いました。歯が伸びすぎないように、健康に育ててあげたいと思った」
母親:
「責任持って、ちゃんと自分で育ててお世話できるかとか、思いやりを持てたらいいかな。できる?できなきゃ飼えないよ」
女性(伊那市内から):
「かわいくて、どうしよう。ただ家の環境も整えてあげなきゃいけないので、検討中」
子ども:
「学校から帰ってきて、なでたり、ごはんあげたりしたい」

冒頭のウサギ「おはぎ」を選んだ佐久市の工藤さん夫婦はー。
工藤さん(佐久市から):
「ウサギさんの首のあたりがモフモフしてるのがかわいい、チャームポイント」
以前、飼っていて2年前に天国に旅立ったウサギに似ているそう。

夫:
「やっぱり見てるだけで癒やされますからね」
工藤さん:
「かわいそうな子がいっぱいいるから、やっぱり幸せにしてあげたいなって」
夫:
「改めて、再度自分らも勉強し直して大事にしたいなと思います」
すでにケージなどの準備が整っていることから、特別に当日、引き取ることに。

そして、佐久市の自宅へ。新たなすみかで元気に動き回り、工藤さんも一安心。もともと名前はなかったが、茶色交じりの毛と今の季節にちなんで「おはぎ」と名付けた。
この日は16匹の引き取り決まる
多頭繁殖によって保護された48匹のウサギ。10月5日は16匹の引き取りが決まったという。
県伊那保健福祉事務所・小木曽郁子さん:
「新しく飼う方にもウサギの特性を理解していただいて、家族の一員として大事に飼っていただけるご家庭が多いかなと見受けられたので、うれしく思っています」

譲渡会は10月25日と11月にも2回開く予定で、事前予約が必要。
(伊那保健福祉事務所 TEL 0265-76-6839)