長野県飯田市の風越山の麓の地区で、10月5日から体長約1メートルの成獣とみられるクマの目撃が相次いでいる。7日朝も1件の目撃があり、駆け付けた警察官が車のクラクションを鳴らしたところ、山の方へ去っていったという。恒例の登山マラソンが中止されるなど影響が広がっている。
クマが民家の敷地を通って…目撃相次ぐ
フェンスの向こう側に現れた1頭のクマ。民家の敷地をうろうろして、その後、姿を消した。6日午前7時半ごろ、飯田市上郷黒田で撮影された。

市によると、5日から風越山の麓の地区ではクマの目撃が相次いでいる。
5日午前11時ごろには、JR飯田駅からも近い今宮野球場の近くで目撃された。

そして、6日の朝は上郷黒田の住宅街で複数の目撃が。
さらに、山に近いピクニック広場周辺でも夕方に目撃があった。
ピクニック広場の周辺では、7日朝も、クマ1頭が目撃された。
警察がクラクション鳴らすと山へ
クマは体長1メートル程の成獣とみられ、6日に撮影されたのと同一の個体とみられている。
パトロール中の警察官もクマを目撃し、クラクションを鳴らしたところ、クマは山に帰っていったという。目撃が相次いでいて住民も警戒感を強めている。

住民は「怖い、まさかこんな近くに出るなんて」、「高速より街側に下りてくることは今までなかった、大変びっくりしている」と驚きを隠せない。
70回超えるマラソン大会が中止に
影響も広がっている。市は、10月13日に開催を予定していた「風越山トレイルマラソン大会」の中止を決めた。
大会は、今宮野球場をスタートし、風越山の山道を駆け上がるコースで、目撃が相次ぐ地域を通る。

飯田市の佐藤健市長は「ランナーとスタッフの安全確保が難しいことから中止という判断にした」と中止の理由を説明した。
70回を超える大会の歴史の中でクマの出没による中止は初めてだ。
市と猟友会が檻を設置
市と猟友会は、周辺に捕獲用のおりを設置した。

佐藤市長は「山に近づかないのがいいが、キノコ採りなどで山に入る場合は音の出るものを身に着けるなど、しっかり注意をしていただきたい」と注意を呼びかけた。