長野県原村の八ヶ岳農業大学校の学生たちが育てた観賞用のハロウィーンカボチャが、地域の観光施設や飲食店を彩っています。今年は約1万3000個を収穫し、茅野市と連携した新たな地域振興の試みも始まりました。

■学生が丹精込めて育てた1万3000個

10月に入り、ハロウィーンの飾りが街をにぎわせる季節となりました。八ヶ岳のふもと原村では、学生たちが手がけたカボチャで地域を彩る取り組みが進んでいます。

原村にある八ヶ岳農業大学校の敷地内には、学生が作った鑑賞用のハロウィーンカボチャが所狭しと並べられています。大きさも色も大小さまざまで、手に取るとずっしりとした重みを感じる立派なカボチャです。

この日は、学生が育てたものと地元農家から提供されたカボチャを出荷する作業が行われていました。最近では飲食店やテーマパークからの注文が入るなど、学生たちが育てたカボチャの人気が高まっています。

■暑さと大雨を乗り越えて

カボチャづくりの中心を担ったのが2年生の吉野怜奈さんです。6月に種をまき、約3カ月かけて生育しました。今年は大小合わせて約1万3000個のカボチャを収穫しました。

「苗を育苗してから素手で定植して、広い面積をやったので大変でした。苗が暑さで枯れてしまうので、定植はちゃんとやらないと育たない」と吉野さんは振り返ります。

今年は暑さと大雨の影響で、大きいものを育てることに苦労しましたが、その分、見た目がかわいい小ぶりなカボチャを数多く収穫できました。

「これは小さいけど形がかわいくてきれい。模様がはっきりしていてかわいいなと思う」とお気に入りのカボチャを手に笑顔を見せました。

■観光客にも人気のフォトスポット

大学校の直売所には、学生が作った野菜や観賞用カボチャが販売されています。この時期特に人気なのが、学生たちが飾りつけしたフォトスポットです。誰でも自由に撮影できるスペースで、写真映えすると観光客に好評です。

東京から訪れた家族は「すごいきれい。いろんな種類もあるし、あまりハロウィンをやったことがないので、見に来てよかった」と話します。

諏訪から来た小学生も「目もついていてリアルでよい。ハロウィンがもうすぐ来るという気持ちが伝わる」と目を輝かせました。

■茅野市と連携、街中をカボチャで彩る

学生たちが作ったカボチャは、職員によって茅野市内のホテルにも運ばれました。ちの観光まちづくり推進機構と共催で、街中をハロウィーンカボチャで埋め尽くそうという取り組みを今年初めて実施します。約50カ所の観光施設に無料で配布し、飾りつけを行います。

配布先のホテル支配人は「お客様を迎えるホテルとして玄関は顔。季節感を表すためにこれからはハロウィン。学生さんの思いや一生懸命さがひとつひとつに感じられる」と評価します。

大学校職員の土井さんは「八ヶ岳全体の観光推進をしたいと思っていた時、カボチャという象徴的なものがあったので、活用できてよかった」と話します。

■6年ぶりの収穫祭も開催

原村では今年、6年ぶりに農業体験や高原野菜を販売する収穫祭を大学校で開催します。ハロウィーンカボチャの飾りつけイベントも予定されています。

原村商工会の牛山会長は「学生も青年も一生懸命頑張っている。その中で原村をアピールしようと祭りを再開することになった」と語ります。

吉野さんは「私がつくったカボチャをいろんな人に買ってもらって喜んでもらったらうれしい」と期待を寄せます。

八ヶ岳山麓をハロウィーンの聖地にー。

大学校では学校主催のイベントも控えており、ハロウィーン本番まで忙しい日々が続きます。

長野放送
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