「最後の文化祭」です。生徒数の減少で2026年3月に閉校する長野市の中条中学校で9月27日、文化祭が行われました。地域住民も参加した体育祭に、花火大会も。「思い出の一日」となりました。
9月27日行われた長野市・中条中学校の文化祭「虫倉祭」。音楽会に、地域の住民も参加した体育祭。
2026年3月で閉校する中条中にとって、「最後の文化祭」となりました。
中条中学校 生徒会長・大内希さん:
「今までは実感がなかったんですけど、本当に閉校しちゃうんだなってさみしい思いがあります」
1962(昭和37)年に旧中条村の3つの中学校が合併してできた中条中。ピーク時には生徒600人ほどが通っていました。
しかし、少子化の影響で生徒数は年々減少し、現在は13人に。2025年度をもって閉校し、60年余りの歴史に幕を閉じることになりました。
最後の1年に心に残る思い出を―。
そう考えた地域住民の有志や学校関係者などが8月、中学校を会場に「夏祭り」を行いました。
住民:
「久々ですね。これだけの人数集まって、うれしいです」
校舎を卒業生や地域の住民に開放しました。教室には「卒業写真」も。
卒業生:
「あ、いたいた。じゃあ俺これか」
「懐かしい」
約60年前に卒業:
「1年の9月ごろにプールができた。それまでは土尻川で泳いでいた」
約15年前に卒業:
「私のクラスも12人だったので、そのころから少ないなとは思うが、少ないからこそ温かさは他の学校に負けないのでは」
閉校まであと半年。9月27日が中条中の「最後の文化祭」でした。
小学校と合同で行う音楽会には保護者や住民など約100人が訪れました。
♪ふるさと中条:
「みんなと遊ぶ土尻川 みんなと登る虫倉山」
音楽会の最後には地域の風景を歌った「ふるさと中条」を会場の全員で合唱しました。
♪ふるさと中条:
「トンネル抜けると そこに現れるアルプス連峰 心に映す ふるさと中条」
観客:
「子どもたちが大きな声で頑張って、素晴らしい演奏してくれたので感動した」
「昔のことを思い出して、感慨深い」
音楽会の後は「体育祭」。これまでは生徒と保護者で行っていましたが、住民にも参加してもらいました。感謝を伝え、思い出にも残してもらおうという考えです。
綱引きは生徒と保護者、住民が「混成チーム」を組んでの対戦。
参加した住民:
「楽しかった。こんなこと初めて」
「中条中」1期生:
「(閉校は)さみしい限りですよね。時代だからしょうがないんだけどね。中条の思い出をいつまでも忘れないようにしてほしい。『ふるさとは中条にあり』でね、(生徒には)頑張っていただきたい」
体育祭とあわせて行われたのは「応援歌」の収録。楽譜はなく、これまで口伝えで歌い継がれてきたため、音源として閉校後も残すことにしたのです。
♪闘志:
「がんばれ中条 わが選手 闘志をこめて 戦わん」
最後の体育祭を終えて―。
3年生・小島羚央さん:
「(閉校して)ここで体育祭ができなくなってしまい、悲しい気持ちはあるんですけど地域の方とも交流、協力して楽しめたのでよかった」
3年生・北沢陽輝さん:
「自分たちでつくった最後の文化祭なので、最高な形で終われてよかった」
閉校記念事業実行委員会・酒井悠紀さん:
「地域の方に支えられた思い出を胸に大事にしながら、閉校を楽しむことはできないかもしれないですけど、立派に巣立っていってほしい」
午後7時過ぎ。夜の学校を会場に花火大会が始まりました。生徒の「最後に学校で打ち上げ花火を見たい」という願いに応え、住民などから寄付を募って実現させました。
卒業生からメッセージも―。
卒業生:
「ここで過ごした青春時代の思い出に浸りながら、感謝の気持ちを込めて花火を見たいと思います」
15分間、中条の夜空を花火が彩りました。
3年生・酒井結芽さん:
「思い出に残るし、みんなで楽しく見られてよかった」
3年生・高橋和さん:
「すごくきれいで、思い出に残る夜になりました」
住民とともに「最後の文化祭」を盛り上げた生徒たち。閉校までの半年間、1日1日が大切な思い出として刻まれていきます。
中条中学校 生徒会長・大内希さん:
「中条中学校の最後の卒業生としてふさわしいよう、(閉校まで)中条中に、中条に恩返しができるようなことをしていきたい」