釧路湿原周辺で進むメガソーラーの建設。
タンチョウに関する再調査―市は報告書の精査へ
大阪市の事業者「日本エコロジー」が提出したタンチョウに関する調査が不十分だとして、釧路市は再調査を求めていた。

これに対し、9月の時点で「日本エコロジー」側は。
「改めて現地調査を実施し、評価書を更新してまもなく提出する予定となっている」(日本エコロジー 松井政憲社長)
再調査の要求に応じる姿勢を見せていた。

10月1日に行われた会見で、釧路市側は。
「資料の提出はあったが現在内容を確認中で、まだ評価には至っていない」(釧路市立博物館 秋葉薫館長)
再調査の報告書が9月30日に届いたと明らかにした。
市は今後、文化庁など関係機関と内容を精査するとしている。

問題は続々と… “氷河期の生き残り”保存は―
一方で、新たな問題も。
絶滅危惧種のキタサンショウウオに関し「日本エコロジー」が行った生息調査について、市が再調査を求めることも検討しているというのだ。
関係者によると、調査実績のない北海道外の企業に調査を依頼していたことなどから、提出された資料を精査するとのことだ。
「提出された調査報告書などについて、内容確認を進めている」(秋葉館長)

絶滅危惧種で、市の天然記念物のキタサンショウウオ。
全長約11~13cm。
国内では釧路湿原のほか、北海道上士幌町や北方領土の国後島など限られた地域でしか生息が確認されておらず「氷河期の生き残り」と言われる。
産卵直後の「卵のう」は光を浴びると青白く輝き「湿原のサファイヤ」とも呼ばれている。

7年前に行われた調査で、種の保存に向けて警鐘が鳴らされていた。
「生息地周辺の開発が進むことによって、いま生きている環境がなくなると一気に絶滅ということも考えられる。生息環境に影響を与えない形で開発行為ができないか提言をしている」(生態系に詳しい専門家 照井滋晴さん)

10月1日からは新たな規制条例が施行
9月に釧路市議会で可決された、メガソーラーの設置を許可制とする規制条例は10月1日から施行された。
条例ではキタサンショウウオやタンチョウなどが生息する区域を「特別保全区域」として、生息調査や保全対策を義務付けている。

「今回作った条例は全国的にも最先端。自然と調和していない太陽光発電を増やさないために、力を合わせていきたい」(釧路市 鶴間秀典市長)

世論の高まりを受け「日本エコロジー」は工事を一時中断。
釧路市などに対し、計画を説明する協議の場を設けるように要請している。
市は対応を協議中だ。
