長野県中野市の4人殺害事件の裁判。9月17日、検察側の依頼で被告の精神鑑定を行った医師が出廷し、「妄想が動機を形成する原因になったが、犯行の判断は妄想が決めたわけではない」などと証言した。

猟銃とナイフで襲われ4人が犠牲

殺人などの罪に問われている中野市の青木政憲被告(34)。

起訴状などによると、2023年5月、散歩していた女性2人をナイフで刺して殺害した上、駆け付けた警察官2人を猟銃とナイフを使って殺害したとされている。これまでの裁判で青木被告は黙秘を続けている。

青木被告 初公判の廷内スケッチ(イラスト:一色こうき)
青木被告 初公判の廷内スケッチ(イラスト:一色こうき)
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裁判は「責任能力」と「量刑」が争点で、検察側は、犯行当時、完全な責任能力があったと主張しているのに対し、弁護側は、精神疾患により善悪の判断力などが著しく低下している「心神耗弱」の状態だったと主張している。

9月4日の初公判(長野地裁)
9月4日の初公判(長野地裁)

9月17日は、検察側からの依頼で青木被告の精神鑑定を行った医師の証人尋問が行われた。

被告の精神状態は「妄想症だった」

犯行当時の青木被告の精神状態については、妄想以外に症状のない、「妄想症だった」とした。

その上で、女性2人に対する犯行は、「妄想症が動機を形成する原因となったが、攻撃するかの判断は妄想が決めたわけではない」と証言した。

また、警察官2人への犯行については、「逮捕などを逃れる行動で、妄想が動機の形成にすらなっていない」とした。

初公判の廷内スケッチ(イラスト:一色こうき)
初公判の廷内スケッチ(イラスト:一色こうき)

犯行当時の被告人の精神状態については、弁護側の依頼で精神鑑定を行った医師は、「正気と異常な状態を本人が認識できていない統合失調症の特有の症状」とし、「妄想に支配されているなかで、女性2人を見て、何かが引き金になり犯行に至った」などと証言していた。

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長野放送
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