岩手県野田村の新たな玄関口として、2025年6月20日に「道の駅のだ ぱあぷる」が三陸沿岸道路・野田インターチェンジそばに移転オープンしました。
南部曲がり家を思わせる大きな屋根が特徴的なこの施設では、野田村ならではの特産品「のだ塩」と「山ぶどう」を中心に、地域の豊かな食文化を体験できます。国内有数の山ぶどう生産地となった野田村の魅力と、新たな観光拠点としての道の駅の取り組みを紹介します。
「道の駅のだ ぱあぷる」の産直・物産コーナーには、季節の野菜をはじめ、野田村ならではの商品が豊富に並んでいます。中でも代表的なものは「のだ塩」です。
坂下誠駅長によると、「野田村には”やませ”の影響で米の生産量が少なく、海水から塩を作り、それを牛の背に載せて盛岡や秋田まで運び、物々交換していた歴史がある」といいます。
「のだ塩」は海水を4日間かけて薪でじっくりと煮詰めて作られます。海水のミネラル分が残った、まろやかでやさしい味わいが特徴です。
さらに、塩分濃度の高いにがりから作られた食材のうまみを引き出す塩や、かけるだけで燻製の香りが楽しめるプレミアムな塩もあります。
また、ほのかな塩味がおいしさを引き立てる「のだ塩ソフト」も人気商品となっています。
野田村のもう一つの特産品が「山ぶどう」です。三陸沿岸特有の”やませ”と呼ばれる冷涼な気候で育つ山ぶどうは、野田村の気候風土に適しているといいます。
「夏は冷涼で、秋になり寒暖差が出ると、山ぶどうの糖度が上がります。野田村は山ぶどうを育てるには最適な環境」と坂下駅長は説明します。
野田村では20年以上前から、山に自生していた山ぶどうの中から良質なものを選び、育種してきました。その努力の結果、現在では国内有数の山ぶどう生産地となっています。
2025年の山ぶどうについて坂下駅長は「実の付きもいい、色付きも早い、これから順調に気候が良くなれば、グレートヴィンテージ(当たり年)の山ぶどうができるかも」と期待を寄せています。
山ぶどうの収穫は例年9月下旬から10月上旬に始まり、昼夜の寒暖差が大きくなるほど糖度が高くなるということです。
道の駅では、野田村産の山ぶどうを100%使用したワインを取り揃えています。赤やロゼのほか、鉱山跡地の洞窟で熟成させたプレミアムワインも販売しています。
シニアソムリエの資格を持つ坂下駅長は山ぶどうワインの特徴について「酸は確かにあるが、コクがあり山の香り、野生の風味がする」と話します。
道の駅内の食堂では、山ぶどうの特徴を生かした料理も味わえます。たっぷりの野菜と大ぶりの豚肉が入ったポークカレーには、山ぶどうが隠し味として使われており、独特の風味を楽しむことができます。
6月に移転オープンした「道の駅のだ ぱあぷる」は、野田村の食文化と新たな魅力を発信する拠点として注目を集めています。