鉄の街、北海道室蘭市。
人口減少が進むこの街で、国内最大級の花火大会が初めて開かれた。
街を彩る花火に、市民はどんな思いを重ねたのだろうか。
室蘭満天花火 イベントにかける関係者の想い
9月6日、初めて開かれた「室蘭満天花火」。
数を公表している中では、2025年日本一となる3万5千発の花火大会だ。

会場は室蘭の街を見下ろす高台の「だんパラ公園」。
この街でそんな大きなイベントを企画したわけは。

人口減少の街に新たな名物を―
「人口が減り、若い人が外へ出ていく、その中で自分たち大人が何を見せられるか。室蘭も捨てたもんじゃないよというところを見せたい」(室蘭満天花火実行委員会 圓子勅将理事)

鉄鋼業で栄えた室蘭市。
人口は1969年に18万人を超えたが、鉄鋼業の衰退などで、現在は半分以下だ。

そんな街をドーンと明るく照らしたいと、地元クレーン会社の社長、上村正人さんが発案し、地域の企業が中心となって準備をしてきた。
「花火大会に行く。やっぱり日本一というから」(室蘭市民)
「これから室蘭に残って働く身として室蘭を盛り上げたい気持ちがある」(室蘭市民)

迎えた当日。
まだ昼だが、会場は―。
「見てください。もうこんなに大勢の人が場所取りをしてますね」(安野陽介ディレクター)
室蘭満天花火は、アーティストによるステージライブや道内外から集まった約80の飲食屋台。

そして子どもが遊べる遊園地など、1日楽しめるイベントだ。
「遊園地楽しい。マジ楽しい。もう疲れてるから」(札幌からの小学生)

VIP席は22万円!安価な芝生席でも1万2000円
花火は、全席有料。
比較的安価な芝生席で、価格は1万2000円。
「僕らは10時くらいから(来て場所取り)。子供がいるので行き来しやすい場所にした」(苫小牧市から)

一方、こちらはVIP席。
その価格は―
「22万円です。それだけの価値があるのかを逆に見てみたい」(白老町から)

花火打ち上げまで1時間、会場はぎゅうぎゅうに混み合ってきた。
家族連れや若者だけではなく、高齢者の姿も。
こちらは車椅子席を予約して家族で訪れた80代の女性だ。

「4年前に手術して車椅子になりどこにも行かれないし、生で花火も何年も見ていない」(室蘭市民 80代)
「室蘭でこういうイベントは初めてなのでぜひ両親を連れてきたかった」(娘)

3万5千発の花火に約2万人が歓声
全国から集まった来場者は約2万人。
いよいよ花火の時間だ。
「音と光で素晴らしいと思う」(室蘭市民)
音楽と照明の演出による花火ショー。
大型花火が絶え間なく打ちあがり会場は歓声に包まれる。

飲食屋台の皆さんも花火に釘付けだ。
「見てました。キレイでした」
「(Q:仕事は大丈夫?)はい」(飲食店スタッフ)

3万5千発の花火は、室蘭の夜空に華々しく弾け、はかなく散った。
「日本最大級という感じがした。地元でこれがあるのはうれしすぎる」(室蘭市民)
「(Q:満足度は?)120%どころじゃないよね」(苫小牧市から)

車椅子で駆けつけた80代の女性も―
「室蘭でこんなことできるなんて信じられない。本当に感激した。この年になって冥土の土産です」(室蘭市民 80代)
「来年また来よう」(娘)

実行委員会は、2026年以降も開催し室蘭の新名物にしたいという。