大分県内の最低賃金は現在954円で、全国平均より約100円低くなっている。
県内の最低賃金を話し合ってきた審議会は、9月4日、その額を今よりも81円引き上げ1035円とするよう大分労働局に答申した。
国の目安を17円上回る81円上乗せされ、過去最大の引き上げ額に。詳しく取材した。

異例の長期化 9月まで合意に至らず
最低賃金を決める2025年度の審議会では労働者側と経営側で意見がまとまらず、平成以降初めて9月まで合意に至らない異例の事態となっていた。
4日行われた審議会の本審では最低賃金を1035円とすることについて労働者側と経営側、それに弁護士などの公益側、3者で投票が行われた。
その結果、経営側の委員4人は全員反対しましたが賛成が上回り、議論は決着。
審議会が大分労働局に答申した。
国の目安を17円上回る81円上乗せされ引き上げ額は過去最大である。
81円という引き上げ額は熊本に次ぐ全国で2番目の高さで、答申通りとなれば最低賃金が県内で初めて1000円台となる。

街の人は「上がってホッとした」「企業側は払える額になるのか心配」
ーー県経営者協会藤野久信専務理事
「非常に厳しい結果と受け止めている。事業者が例えば従業員数を減らすとか事業継続を諦めるとかそういうことに繋がらなければいい」
ーー連合大分 二宮研介副事務局長
「現在物価高というところもある。実際に賃金が上がってみてその賃金でやっていけるのかどうかというところが肝心」
最低賃金が1035円となる見通しに、街の人は。
ーー20代 飲食店アルバイト
「話し合いが続いていたのでどうなるかなと思ったが結構上がってホッとした」
ーー30代 公務員
「私もサラリーマンなのでもらう側にとってはうれしいが、企業側にとって払える額になるのかなというのは心配」
ーー30代 会社経営
「つらいですけどいいと思う。私だけじゃなく従業員も(生活)水準を上げていかないと生きるだけでもつらいと思う」
ーー30代 会社員
「子供が生まれていろいろかかる費用も増えてきたので働いた分もらえる金額が増えるのはうれしい」

人員を増やそうと考えていた生花店は引上げ額を見て「考え直した」
新しい最低賃金の適用は経営側の準備期間を考慮して年をまたぐことになり2026年の1月1日からとなる見通し。
初の時給1000円台となる見込みの県内雇用する側はどう受け止めているのだろうか。
パート従業員6人を雇用している大分市の生花店は、今回の結果は予想外だったという。
「正直びっくりした。予想よりもはるかに金額が上がってきた。うちのような中小企業の小さい店だと、なかなか今から厳しくなるのでは」
こう話すのは、『花の店とがわ』戸川麻世副代表である。
最低賃金が81円上がることで、新たな賃金が適用される見通しの2026年1月からは人件費がこれまでよりも毎月20万円から30万円ほど増えるという。
人件費の上昇分をどう補うかは今後検討予定ですが値上げは最終手段だと話す。
◆花の店とがわ 戸川麻世 副代表
「急に(商品を)値上げするともっと(消費者の)花離れが加速してしまう。なるべく無駄を省いて利益をあげるというところなので、やっていくしかない」
2024年からカフェの営業も始め、これから弁当のテイクアウトなど事業を拡大していくため人員を増やそうと考えていたが、答申で示された最低賃金の引上げ額を見て考え直したという。

大分の引き上げ額81円は全国で2番目の高さ 九州では福岡に次ぐ高い水準に
今回示された最低賃金の大幅な引き上げ、雇用する側にとっては経営をどう維持してくか頭を悩ませる問題となっているようだ。
1035円とすることで4日答申された県内の最低賃金。大分の引き上げ額81円は全国で2番目の高さである。
1035円となると九州では福岡に次ぐ高い水準となる。
異例の7回目の審議でようやく決着したが、なぜここまでもつれたのか。
審議会は7月に始まり、当初から経営側は国の引き上げの目安額64円に対して「非常に厳しい数字」と難色を示していた。
そうした中、8月の第3回審議会のころ他の県で引き上げ額が70円を超えるところが出てきた。
そのため労働者側は70円台での合意が一つの目安にななった。
ただ、当然経営側は反発。その後、両者平行線の話し合いが続いた。

新しい最低賃金は2026年1月1日から適用
そして、隣の熊本県が82円引き上げることになり、他県への人材流出の観点から、最終的に、時給で熊本県より1円上回るよう大分は81円引き上げて1035円で決着した。
新しい最低賃金は2026年の1月1日から適用される見通し。
