(兵長)
「志願する者を募る」
170人が詰めかけた8月31日の公演。
(銃声・大和と兵長)
「平(おさむ)!」
「助ければ貴様も同罪とみなす」
最上地域の若者たちが集まり、2021年に旗揚げした「劇団ICO」。
戦後80年の今年、劇団は初めて戦争をテーマにした芝居に挑んだ。
(日和と大和)
「いま僕の世界では戦争が行われている。日和の世界は平和だよね…」
「平和といえば平和だけど生きづらい。生きている意味も価値も見いだせない人も多い。かくいう私も死に…」
「そんなはずない!僕は、日和の世界は戦争もない、平和な物語で、爆弾も死も、なにもない!平和、平和なんだよ!勝手に僕の話を捻じ曲げるな!」
劇のタイトルは「拝啓、あなたはまだそこにいますか?」
作家志望の青年・大和が特攻隊として出撃する直前、平和な未来を願い1冊の本を書き残すが、時空を超えて出会う物語の主人公・日和は…
(日和)
「私は死ぬことしか考えていない!明日はどうやって死のう。その次はって、それができなくてずるずる生きてる。だから私は…」
(大和)
「日和は死なない。ずっと生き続ける。だって本庄日和は、僕自身だから」
生きることをあきらめない大和は、平和な世界にいながら幸せを実感できない日和に
“未来の自分”を重ねて語りかけた。
(日和)
「あんた1人が死んだってなんにも変わらない!世界も日本も私も変わらない」
(大和)
「僕は変えるために行くんじゃないよ。守るためにいくんだ。日本がこの先、どういう光筋(みちすじ)をたどろうとも日和は生きているじゃないか。物語はずっと残る」
(日和)
「あなたの書いた物語のようには生きられないよ…」
(大和)
「だったらそうなるようにずっと書き続けるよ。これからもずっとね」
(鑑賞した男性)
「(戦争と平和について)考えさせらえる内容で非常に良かった」
(鑑賞した女性)
「中学生の息子がいるが(SNSに)簡単に『死ね』という言葉が出る時代になって生きづらさについても考えさせられる物語だった。中学生や高校生に観てほしいと感じた」
劇団ICOは「今後も様々なテーマで芝居づくりに励みメッセージを届けていきたい」としている。