7月の参院選での敗北を受け、自民党は2日、両院議員総会を開き、参院選総括の報告書を決定した。報告書では、「解党的出直し」に取り組む方針を明記する一方、石破首相や党幹部の責任については言及していない。

報告書では、「民主主義の根幹たる選挙において、かかる厳しい民意が下されたことを真摯かつ厳粛に受け止める」とした上で、選挙結果や敗因を分析している。

まず「石破内閣の支持率低迷により自民党の基礎力が低下した」と指摘。

「縮んだ自民党支持層も固め切れなかった」、「無党派層への訴求力も不足した」、「若年層・現役世代・一部保守層の流出を招いた」としている。

また、現状の物価高対策が国民に刺さらなかったとした上で、「給付金を支給するとの政策決定が選挙直前までずれこんだこと等もあり、党全体として一丸となって国民に説明する姿勢・態勢が取れず、減税をすべきという野党の分かりやすい主張に対し、十分に対抗できなかった」と分析。

消費税減税を訴える「野党の土俵で選挙戦が進んでしまった」としている。

さらに「『政治とカネ』をめぐる不祥事により信頼を喪失した」とした上で、「国民の多くは十分に納得していない厳しい現実がある。引き続き自民党に対する不信の底流となっていることを厳しく自覚し、猛省をしなければならない」としている。

一方、名指しは避けたものの、自民党の鶴保庸介参院議員の「運がいいことに能登で地震があった」との発言を念頭に、「参院選直前から序盤にかけて持ち直し傾向にあったものの、決定的な打撃になったのが、選挙戦中盤における党国会議員による能登地方の被災者を傷つける発言であった」としている。

今後の党の対応としては、「かつて人材育成や意見集約、選挙支援に大きな役割を果たした」派閥の解消を受け、「人材育成等において党本部機能を抜本強化する」としている。

この他、「SNSを通じた発信力を強化する」ことや、「野党の主張、ネット上で拡散するデマ・誤情報に対応するため、平時からファクトチェックを行い、具体的なデータを示した反証・訂正情報を公式サイトやSNSで発信する体制を整備する」ことも盛り込んでいる。

そして、「我が党は党を一から作り直す覚悟で解党的出直しに取り組み、再び国民に信頼され負託に応えられる真の国民政党に生まれ変わることをここに誓う」と結んでいる。