廃業後20年以上放置されてきた静岡県下田市のホテルについて、市は危険な部分を撤去する行政代執行にとりかかりました。心霊スポットとして立ち入る人が相次ぎ、不審火も起きていました。
下田市建設課・佐々木豊仁 課長:
ただいまより空家等対策の推進に関する特別措置法および行政代執行法の規定に基づき、緊急代執行による木造部分の撤去を開始することを宣言します
下田市は8月20日、廃業したホテルを撤去する行政代執行に踏み切りました。
山すそに立っていたホテルは一部が大きく崩れ、周辺の住宅に被害を及ぼしています。
1962年に開業した「下田富士屋ホテル」は経営不振により2001年に廃業し、その後放置されてきました。
いまやガラスは割れ、天井は抜け落ちた状態。
壁にスプレーの落書きも。
警察の立ち入り禁止のテープがあるのは火事が起きたからです。
2023年、このホテルで不審火が発生し、周囲は騒然となりました。
心霊スポットとして無断で立ち入る人も相次いでいて、地域の大きな問題となっています。
最も深刻なのが崩れ落ちてくる建物によって住宅が破損する被害で、何度もくり返されています。
住宅被害を受ける人:
屋根が壊れて、1階の部屋が水浸しになって全部取り替えました。(所有者は)全然話にならない。1回も来たことがないし、私も相手とやり取りする知識も持っていないので、どうにもできなかった
市は所有者に再三改善を求めましたが何の対応も取られず、住民の安全を守るため危険の大きい木造部分の撤去を始めました。
下田市建設課・佐々木豊仁 課長:
回答がある時は経済的な理由からできないと。その呼びかけにも応じてくれなくなったこともあり非常に対応に苦慮していた。観光地の景観としても防災上の懸念もありますから、今回、建物の隣接家屋に被害が及んだ一部分を撤去することになりましたが、今後も所有者にこれを契機にしっかりと残った部分の建物の適切な管理や撤去もお願いしていきたいと考えています
木造部分の撤去は9月にかけて行われ、市は費用 約600万円を所有者に請求する方針です。