防災システム研究所の山村 武彦 所長と、記録的大雨の爪痕が残る熊本県内各地を回り、その教訓について考えます。3回目の20日は、中小河川の境川が氾濫した玉名市で浸水被害に遭った住宅などを取材しました。
【有田 和令 記者】
「こちらが玉名市を流れる二級河川の境川になります」
【防災システム研究所 山村 武彦 所長】
「それほど大きくない中小河川が今、大きな河川よりも、越水したり氾濫したりするケースが多い」
玉名市の北西部を流れる二級河川の境川です。
こちらは、県が設置した河川カメラのけさの映像。真ん中を流れるのが境川で、両岸には道路が走っています。
一方、こちらは8月11日午前0時前の映像。一面、湖のようになり、ガードレールが辛うじて見えるだけです。
玉名市では、8月10日の深夜から11日の未明にかけて猛烈な雨が降り、3時間降水量が観測史上最も多い284.0ミリを観測。この記録的な大雨により境川が氾濫し、流域の住宅や店舗の多くが水に漬かりました。
【自宅が浸水した住民】
「ああ、やっぱり怖かった、本当。初めて、床上の80センチまで浸水した」
【自宅が浸水した住民】
「ここまで水が来た。(降り始めて)30分ぐらいで床下の収納から水があふれてきた」
山村 武彦 所長は、この境川流域では「『内水氾濫』と『外水氾濫』が同時に発生した」と分析します。
【防災システム研究所 山村 武彦 所長】
「河川の水位が上がっていると(市街地に降った雨が)排水できない状態になる。市街地に降った雨は市街地にたまっていて、なおかつ中小河川から水があふれて住宅街に流れ込むので一気に住宅街が浸水してしまう」
8月16日、自宅が浸水被害に見舞われた女性のもとを訪ねました。
村田 恭子 さん83歳です。
【村田 恭子 さん】
「もうすごかった。雨の音からすごかった。あと降る雨の量が…」
8月10日の深夜、家族4人で暮らす村田さんの自宅はアッという間に浸水。2階に垂直避難したといいます。
【村田 恭子 さん】
「ここまで水が来た」
【防災システム研究所 山村 武彦 所長】
「ここだけで1メートルある。家は道路よりも高くなっているのに」
自宅が床上浸水したほか、農作業用の小屋と車3台も水に漬かりました。
厳しい暑さの中、連日、泥水で汚れた家財道具などの片付け作業に追われているといいます。
【防災システム研究所 山村 武彦 所長】
「水の恐ろしさですね」
【村田 恭子 さん】
「恐ろしいですよ」
「私たちも水害に遭った人たちの気持ちが分かる。泣きたい…」
「ぼちぼちやります」
【防災システム研究所 山村 武彦 所長】
「無理しないで体に気をつけてください」
玉名市を流れる境川の流域では過去に何度も水害に見舞われています。
山村 武彦 所長は「雨の降り方が以前とは異なり短時間にものすごい量の雨が降り河川が氾濫したり住宅街が浸水したりするケースが増えている。
こうした状況を踏まえた家屋の浸水対策などが求められている」と話します。
21日は、一連の大雨で市内中心部の下通アーケードなどが冠水した熊本市を取材。『内水氾濫』への備えについてお伝えします。