今期限りで退任すると明らかにした広島県の湯崎知事。
4期16年の湯崎県政を振り返ります。

2009年に44歳で初当選した湯崎知事。

1期目の2010年には第3子の誕生を受け、都道府県知事で初めて育児休暇を取得しました。

【湯崎英彦 知事】
「子育てにやさしい社会へという方向に動いていったらいいと思います」

就任当初から観光や産業振興に注力し、1期目には「新たな経済成長」など4つの分野を重点施策とする「ひろしま未来チャレンジビジョン」を策定。

知事選でマニフェストにも挙げていた「瀬戸内・海の道構想」では観光消費額を1兆円規模に増やす取り組みを開始しました。

『おしい!広島県』という自虐的キャッチフレーズで展開した観光キャンペーンが功を奏し、2012年の広島県への観光客は過去最高を記録。

県産の農林水産物のブランド力を高めようと2022年度にはプロジェクト「おいしい!広島」をスタートさせました。


一方、まちづくりを巡っては苦渋の決断も迫られました。
長年にわたり地域を分断してきた福山市の鞆港の埋め立て架橋計画を巡っては、計画を撤回し、山側トンネル案を採用。

【湯崎 知事】
「山側トンネルは求められる定時性や通過交通の排除といった生活の利便性や安全の確保と景観保全等を両立させながらすべての住民ニーズについて最もバランスよく満たすことができるものと考えている」
【福山市 羽田市長(当時)】
「もう一度考えなおして頂きたい」

トンネルは最初の計画から41年のときを経て、今年開通しました。

大型事業としては広島市東区への新病院建設を主導。

【湯崎知事】
「県民の皆様が全国トップレベルの医療を受け続けることができるようにするということ。どこに住んでいても、必要な医療を安心して受けることができる体制を作っていきたい」

県立広島病院など4つの医療機関が統合する新病院は2030年度の開院を目指しています。

そして、ベンチャー企業の経営者だった湯崎知事が就任直後から着手したのが組織改革。
「予算主義から成果主義への転換」を打ち出し外部人材を積極的に活用。
一方で、民間出身者として初の教育長に就任した元リクルート社員の平川理恵氏の起用は県民の批判を招く事態に。

NPO法人との契約で官製談合防止法違反と指摘され職員が罰金刑を受けました。
県議会から平川氏の辞任を求める声が相次ぎましたが、湯崎知事は続投させました。

【湯崎知事】
「強いリーダーシップを持って丁寧に進めなければ、なかなか進まないということもあるので、そういったところが副作用として出てきたのかなと」

また、4期16年の間で人口減少に歯止めがかからず、「転出超過」は4年連続で全国最多に。

ことし4月には県の土木建築局で虚偽の公文書偽造問題が発覚。
組織的な関与が疑われる中、県議会などからは多選の弊害を指摘する声も上がっていました。

そうした中、湯崎知事は核兵器廃絶への強い思いを抱いていて、ことしの平和記念式典でのあいさつも注目されました。

【湯崎知事】
「『国守りて山河なし』もし核による抑止が、歴史が証明するようにいつか破られて、核戦争になれば、人類も地球も再生不能な惨禍に見舞われます」

今月5日の定例会見で5期目への意欲を問われると「まだ決めていない」としながらもこう発言する場面もありました。

【湯崎 知事】
「5期というと20年なんで、それなりに長いっていうようなこともありますし、県民の皆さんのそういったことについてどう思われるかといったようなことをがやはり重要になってくるかなというふうに思ってます」

テレビ新広島
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