11年前の広島土砂災害では、今月開業した路面電車の駅前大橋ルート。そして新しい広島駅ビルの整備など広島の街づくりに尽力しながら、志半ばで犠牲となった広島市職員がいました。
今月3日。「出発進行!」
今月、ついに実現したJRの駅ビル2階に路面電車が乗り入れる日本で初めての光景が…。
【加藤キャスター】
「連絡通路に目を向けても皆さんすごいですね。この景色はなかなか電車に詳しくなくてもテンションがあがりますね」
JR西日本と広島電鉄、広島市の三者が連携して実現し、この中央アトリウム空間はその象徴とされています。
先週の金曜日…
広島市安佐南区にあるお墓を訪ねたのは広島駅南口の再整備に関わってきた広島市の担当者です。
【広島市道路交通局・多久島俊彦次長】
「竹内さんの遺志を引き継いで、ここまで事業を安全にやることができました。おかげさまでありがとうございましたと…」
いまから11年前、多くの人の命と生活を奪った広島土砂災害…
この墓に眠る竹内さんも自宅が土石流に巻き込まれ犠牲となりました。
【広島市道路交通局・多久島俊彦次長】
「私も昔の資料を見て知ったが(2014年)9月1日に、いまの基本方針を三者の代表で記者発表する予定だったということで、その直前に亡くなって…資料提供という形で発表になった」
広島高速道路や新白島駅などの大型事業に携わり、11年前は広島市の都市交通部長として広島駅南口の再整備に向け中心的役割を担っていた竹内さん…
新しい広島の顔となる陸の玄関口を目指して、路面電車の駅ビル2階乗り入れを軸にした計画を大々的に発表しスタートを切る矢先の災害でした…
【広島市道路交通局・多久島俊彦次長】
「2014年に基本合意して、そこから三者が連携して一緒にいいものを作っていきましょうとスタートしたが、それまではそれぞれの会社の立場とかいろいろあるのでそこを同じ方向を向いてお互いが良くなるようにしようということで進めていく方針を出されたのは大変だったと思うし、うまくいまここまで来られたというのは、その時の三者を取りまとめたのが大きかったんだろうなと思う」
予期せぬ災害で大切な仲間を亡くし、悲しみを抱えながらもこの11年力を結集し、事業を前に進めてきた担当者たち…
2029年春の全体完成を目指し、この先もペデストリアンデッキや大屋根、広場の整備などが続きます。
【広島市道路交通局・多久島俊彦次長】
「きちんと我々もしっかり仕事をやって広島の街づくりが進んでいくように、それが竹内さんの想いにもこたえる形になると思うので頑張っていきたい、そのこともお誓いした」