穏やかな瀬戸内海に面した街で、ある騒動が起きています。

1軒丸ごと廃材に覆われた古民家。
実はこれは廃材を利用したアート作品なんです。しかし今は放置されていました。

8月1日から香川・東かがわ市で開催されるはずだった「HIKE!HIKETA-東かがわ国際芸術祭‐」。
しかし、直前で主催者と連絡が取れなくなり開催はされていません。

展示会場だった古民家は“もぬけの殻”。
SNSの更新もされず、運営を担う実行委員会に活動の様子は見られません。

古民家に自らの作品を放置された現代美術家の中村岳さんは憤りをあらわにします。

現代美術家・中村岳さん:
問題なのは展覧会が虚偽にあふれていること、連絡を取っているが音信不通になってしまって、僕自身も一応抗議というかその姿勢を取ることにしました。

主催者からの出展依頼を受け中村さんは7月、現地を訪れ10日間かけて作品を制作。
芸術祭が初めての開催だったことから、作品を無償で提供することに。

主催者側からはこんな甘い言葉をかけられたといいます。

現代美術家・中村岳さん:
(主催者の)説明だと瀬戸内国際芸術祭という全国的に有名なすごい展覧会があって、その関連事業で始めると。優秀なアーティストは引き抜きがあると言っていた。

香川と岡山の島々を舞台に開催されている、国内最大級のアートの祭典「瀬戸内国際芸術祭」。
海外から多くの観光客が訪れるなど、世界から注目を集めています。

同時期に開催されるはずだった問題の芸術祭。
主催者は、参加者に「瀬戸内国際芸術祭」の関係者と知り合いで“力のある作家は歓迎する”と豪語していたといいます。

芸術祭に出展予定だった郁川舞さん:
作家に期待を持たせるような発言は度々していた。ものすごく手間がかかっていて、それが全部できなくなってしまってすごく悲しい。

このアーティストは主催者とLINEでやり取りしていましたが、8月に入り、連絡は途絶えてしまったといいます。

郁川さんは「あまりにも無責任な対応で怒り。こんなことがあり得るのかとすごくびっくり。口だけじゃないが、そういうものが積み重なって全部破綻したのでは…」と話しました。

さらに、ホームページで勝手に名前を使われたとの声も上がりました。

実行委員会のホームページには「連携」という項目に「香川県政策部文化芸術局文化振興課」との記載が。
しかし、連携している事実はありませんでした。

県によると2024年7月、主催者は芸術関連の助成金に応募。
その後連絡がつかなくなったことから、助成金の交付を見送ったということです。

「イット!」の取材に対して、香川県文化芸術局は事実と異なっている部分の削除を求めたいと話しています。

「イット!」では、騒動となった芸術祭の主催者に連絡を取りましたが今のところ、返事はありません。

岡山放送
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