子供たちが様々な職業を体験し、自分たちの「好き」を見つけるイベントが、先月、広島市内で、開催されました。この取り組み、職業体験以外にも狙いがありました。

7月19日、広島市内で開催された子供向けの職業体験イベント。
会場には、役所や様々な業種の企業など34の団体が集まりました。


<建設業体験コーナー>
Q:今日はどうするのですか?
【鉄骨担当者】
「足場が半分くらいで来ている状態で、残り半分を子供たちと組み立てるという体験をします」

工事現場で、よく見かける、鉄骨でできた足場。職人さんと一緒に、組み立てていきます。もちろん、こんな経験は、みんな初めてです。

Q:初めて体験した?
【体験した子供は】
「はい。たのしかったです」
Q:怖くなかった?
「大丈夫です。板が結構重かった」

今回、開催されたイベント、始まりは2年前にさかのぼります。

<2023年8月 初回全体ミーティング>
【キッズダムひろしま・青木俊介さん】
「広島の人口の流出数が2年連続ワーストワン(当時)と聞いて決して(広島に)魅力がないとは思っていない。それが伝わってないのではないかと思っているので、伝えられる場と子供たちの夢までとはいかなくても『好き』を見つけられる場があればいいと思う」

そんな思いで、職業も年齢もバラバラのメンバーが集まりました。
計画は何度も壁にぶつかりながら、この日を迎えたのです。

【キッズダムひろしま・青木俊介さん】
「感無量です。これだけの企業に集まってもらえて」

会場には工夫を凝らしたブースが並びました。よく見ると「交番」もあります。

<警察官体験コーナー>
【警官】
「この会場内をみんなでパトロールして、困っている人がいないか、悪いことしている人いないかなというのをみんなで探しに行きます」

ということで、みんなで会場内の巡回パトロールに出発です。

<お医者さんコーナー>
身近にあっても、体験することが難しいのがお医者さん。

<縫合体験>

【医師】
「そうそう完成。抜糸もしてみる?」

挑戦するのは、傷口などを縫い合わせる縫合処置。

【医師】
「実際の医学生がやるセットを持って来ています。10分くらい体験すると子供の方がどんどん上手くなって、できる子もいるので」

このブースには、さらに、画期的な体験が用意されていました。

【医師】
「僕が開発したVRの診察室体験です。診察は医者の本質のものなので。でも医者の職業体験で診察の体験をしている所はないんです」

VRで実際の診察室を再現しました。
問診や診断など診察室で行う仕事がリアルに体験できるのです。

【医師】
「患者を呼び入れる体験や実際の心音や呼吸音を聞くこともできる」

その頃、パトロールに出発した子供たちは…

【会場内で困っている人】
「大切なものをなくして、これくらいの黒いカバンを失くしたんです。このくらいの手で持つタイプのカバンを無くしてしまって」
【子供たち】
Q:中に何が入っていましたか?
「中に白い本が入っています」

「カバンを失くした」という相談を受けた子供たち。捜索開始です。
失くしたカバンはきっと、この会場の中にあるはずです。
探していくと、それらしきものが・・。

【警察官】
「何かあるぞ」

お兄さんにカバンと中身を確認してもらいます。

【子供たち】
「これですか?」
【困っていた人】
「この白い本を探していたんです。ありがとうございます」
【子供たち】
「どういたしまして、それでは気を付けて」

みんなの活躍で“事件”は解決。
警察官という仕事の大切さと大変さを実感します。

【子供たち】
「普段やった事がなかったり、知らなかったことが学べてとても勉強になった」


<製造業コーナー・かばん屋さん>
このイベントにはもうひとつの狙いがありました。
こちらは、大正時代創業の広島市内の老舗カバン店。
ミシンを使って、コメ袋でカバンを作ります。
初めて体験する作業に子供たちは夢中です。

【かばん屋さん】
「子供たちが作る事が楽しいと感じて帰ってもらえる事はすごく良かった。縫製業は斜陽だし、あまり知られていないところがあるので」

【お母さんは】
「子供も意欲的に取り組んでいて、参加して良かったと思います。広島の企業には色々な会社があるんだなと改めて知ることができたし」

そう思ってもらう事が、このイベントのもうひとつの狙いなのです。

【キッズダムひろしま・青木俊介さん】
「みんなが知っている大きな企業だけではなく、広島には魅力のある中・小・零細企業はたくさんあるので、それを知ってもらう場になればいいと思う」

会社や職業を知る事が街の魅力を知る事に繋がる。
そのためには、子供だけではなく、大人にも興味が持てるイベントにしたいと考えたのです。

【お母さんは】
「知らない企業や実際に体験してみないと分からない事ばかりなので、私も子供も貴重な体験をさせてもらっています。子供よりも私の方が耳を近づけてのめりこんで聞いています」

会場の熱気に青木さんたちも手応えを感じていました。

【キッズダムひろしま・青木俊介さん】
Q:子供たちが生き生きしてますね?
「関わっている大人が生き生きしているからだと思う。子供たちが喜んでくれたのはもちろんですが、大人が喜んでくれた事が本当にうれしくて」

新たな挑戦は、すでに、次を見据えています。

【キッズダムひろしま・青木俊介さん】
「実は次もこの会場の予約だけは押さえていて、来年2026年はもう動いています」

街の魅力を伝えながら、子供たちが好きを見つける職業体験イベント。
来年は、どんな進化を見せるのでしょうか。

<スタジオ>
【コメンテーター:元カープ・山内泰幸さん】
「実際に体験してみると新たな発見がありそうですからね。子供たちの好きが見つかるといいなと感じました」
【コメンテーター:JICA中国・新川美佐絵さん】
「やっぱり広島が良かったよねって戻ってきてくれる子供が増えるといいですね。そのためには今回、大人が本当に自分の仕事に誇りを持っている。目を輝かせている大人たちが広島にたくさんいるんだ。ということを子供たちが知ることができたっていうのは何よりも思い出なのかなって感じました」

テレビ新広島
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