万博会場で今月13日に多くの人が帰宅困難になった問題で、大阪府の吉村知事はきょう=18日、情報発信のあり方などを改善するよう博覧会協会に提言したと明らかにしました。
■残り2カ月で黒字見えてきた万博も…3万人帰宅困難トラブル
18日、大阪・関西万博の会場ではSkyDrive社が開発した「空飛ぶクルマ」のデモフライトが行われました。
【大阪府・吉村知事】「実際近くで見ると、最初は観光遊覧が有効だなと。さらに災害対策であったり小回りが利く」
万博閉幕まで残り約2カ月となり、ようやく運営費の収支の黒字化が見えかけてきましたが、ここにきて新たな課題が突きつけられました。
それが「帰宅困難」です。
今月13日夜、大阪メトロ中央線が停電により運転見合わせとなったことで、東ゲートから出ようとした多くの人が帰れなくなる事態になりました。
3万人ほどが一時、会場とその周辺に滞留したとみられています。
【子供】「足痛かったりとか…ホテル帰りたいです」
多くの人が急きょ開放されたパビリオンの中や、外のベンチなどで一夜を過ごし、熱中症のような症状などで36人が病院に運ばれたということです。
■吉村知事「生の声を」投稿に1500件以上の返信
これを受けて吉村知事は対応のあり方について、「生の声をいただきたい」などとXに投稿したところ、1500件以上の返信が寄せられました。
投稿は、「情報源がSNSで、どのパビリオンが開いているのかなどが分からなかった」
「西ゲートへの誘導や、バス・タクシーの待ち状況などのアナウンスがあってもよかったのでは」など、来場客への情報発信が不十分だったとの意見が目立ちました。
■吉村知事が博覧会協会に”3つの提言”
そして18日、吉村知事はトラブル発生後初めて取材に応じ、博覧会協会に「3つの提言」を行ったことを明かしました。
提言の概要は以下の3点です。
(1)情報発信の改善
(2)徒歩で会場外へ出て自家用車で迎えに行くことを可能に
(3)水や物資の提供・スマートフォンの充電
【大阪府・吉村知事】「まずは情報提供のあり方。SNSへの発信もそうですしアナウンスの改善のあり方。徒歩で場外に出て自家用車で迎えに来るのは通常は禁止されているが緊急事態においては開放すべきだと私は思っています。『水や物資の迅速な提供やスマホの充電が難しい』という意見が多かったのでいかに万博会場で快適に過ごしていただけるか」
一方、博覧会協会の石毛事務総長も18日に会見し、「改善すべき点はすみやかに改善して参ります」と話しました。
■パビリオン開放や臨時バス運行もアナウンスに課題
当日、情報発信がどのように行われていたか振り返ります。
パビリオンについては、午後11時半ごろから一部のパビリオンが自主的に施設を開放していましたが、アナウンスがあったのは、翌日の午前1時過ぎからだったそうなんです。
そして、臨時バスも西ゲートから利用できるようになっていましたが、「輸送能力に限界がある。混乱を避けるため」などとしてアナウンスはされませんでした。
18日、吉村知事は情報を適切に発信できるよう体制や手段を強化し、検証結果を公表すべきと改善策を博覧会協会に提言。
そして、博覧会協会の石毛事務総長は「ウェブやSNSでの文字情報が不足していた。状況に変化がない場合でも、情報提供をして行きたい」と話しました。
【ジャーナリスト・風間晋さん】「情報はわかった時点で迅速に情報提供するのが一番の原則だと思うんです。『開放されているパビリオンがあります。ほかにもやっています。西ゲートからバスが利用できます』と。
さまざまな留意点や注意してほしいことがあれば、それはちゃんと加えた上で伝えればいいんです。『対応力に限界があるので、殺到してほしくない』とか、すべて伝えればいいと思います」
誰も取り残さないような情報発信が求められています。
(関西テレビ放送「newsランナー」8月18日放送)