大雨特別警報の発表から半日余り。
鹿児島・姶良市加治木町の網掛川では、川岸がえぐられたように崩れたところで車1台が転落し、もう1台は辛うじて道路にとどまっている状態になっていました。
山肌がえぐれるように大きく崩れ落ちている場所も。
住宅が竹林とともに押し流され、この住宅に住んでいた連絡が取れていない女性の捜索が行われていました。
鹿児島を襲った大雨。
その猛威がカメラに捉えられていました。
まるで渦潮のように弧を描き、激しいいきおいで排水されていく濁流。
その周辺では、車のボンネットを隠すほどに道路を埋め尽くした水が“茶色い滝”となり川に降り注いでいました。
命の危険が迫る警戒レベル5相当。
8日早朝に鹿児島・霧島市に出された大雨特別警報。
猛威は夜も明けきらないうちから映像に捉えられていました。
特別警報発表直後の午前5時台。
銀行や飲食店などが立ち並ぶ街の中心部では、道路にあふれた水の中に黒い冷蔵庫が浮いていました。
“川と”なった中心部の道路。
車が通るたび、冠水した道路には大きな波が立っていました。
鹿児島空港に近い霧島市の溝辺で1時間に降った雨の量は107.5mm、24時間の雨の量は506.5mmと、いずれも観測史上1位の値を更新しました。
午前6時半ごろ、霧島市に隣接する姶良市では農業用ハウスと思われる骨組みが高さ半分ほど水没していました。
農業用の機材も辺り一面に散乱。
水没した影響とみられるブザーが鳴りっぱなしの車や、床に大量の泥が残されたままの家もありました。
住民:
母がトイレに起きて窓を開けてみたら、ネコが歩いているかと思ったら、ぷかぷか浮いていて「えっ、水だ」と。10分もしないうちに上(家屋内)に上がってきて、畳がぷかーと浮き出した。
霧島・姶良周辺では土砂崩れなどによる被害も確認され、木々が道路を完全に埋め尽くしている場所もありました。
鹿児島空港へ続く国道504号線では陥没が発生し、橋の欄干を突き破って大型トラック2台が転落していました。
猛暑のさなかに襲った豪雨は、あちらこちらでライフラインの寸断を引き起こしました。
地元住民:
水が出ないの今。私もう90近いんだけど、こんなの生まれて初めて。
雨が上がった霧島市内の集落では、流れ込んだ土砂に何台もの車が埋まっていました。
住民:
避難しようとしても、どこに出て行くにも、道路がこんなんだから行かれんもん。
さらに集落の先にある温泉旅館で約40人が孤立しているという情報もありました。
土砂崩れがあった姶良市内の住宅では、警察や消防による捜索活動が行われていました。
近隣住民:
雷と雨の音で全然崩れたような音も聞こえなかった。ここに来たら山が崩れて、こういう状況で。捜しているのは娘さん。
住んでいる30代の女性と連絡が取れていません。
大きな被害をもたらした今回の豪雨。
8日夜から9日朝にかけて再び雨雲が発達し激しい雨が降る恐れがあります。
また、線状降水帯が発生する可能性も排除できないといいます。
そして、9日にかけては九州北部でも警報級の大雨が降る恐れがあり、今後の情報に注意が必要です。