前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で、九州南部では記録的な大雨が降り、土砂崩れや道路が冠水するなど、被害が広がっています。
大雨について、フジテレビ災害対策チームの山口吉博部長と見ていきます。

青井実キャスター:
今も危険な状態は続いているということですね?

フジテレビ災害対策チーム・山口吉博部長:
はい。霧島市の大雨特別警報は大雨警報に切り替えられましたが、これまでに降った雨で地盤が緩んでいて、災害リスクは高いままと言えます。

青井実キャスター:
今回の大雨に関する警報などをまとめたものをみていくと、2度目の「線状降水帯発生情報」が出された13分後に「大雨特別警報」、そして「緊急安全確保」が出ました。急激に危険度が増したということなんでしょうか。

フジテレビ災害対策チーム・山口吉博部長:
気象庁にとっても想定より早い大雨だったといえます。気象庁は、線状降水帯予測情報は半日ほど前に出すことを想定していますが、3時間半ほどで線状降水帯が発生しました。したがって、予想を上回る雨雲の発達と降水量だったと思われます。日付が変わってから明け方にかけての時間に一気に雨が強まったと言えます。

青井実キャスター:
まさに寝ている時間ということですから、なかなかこの情報難しいなと思いますが、今は警報に切り替えられましたが、今後も警戒は必要ということですね?

フジテレビ災害対策チーム・山口吉博部長:
「大雨特別警報」は警報の基準をはるかに超える大雨で、重大な災害の起こる恐れが著しく高まっている場合に発表されます。最大級の警戒を呼びかけるものです。警戒レベル5にあたるもので、この前の警戒レベル4の自治体からの避難指示までに危険な場所から避難することが必要です。

この雨によって被害が出てきています。

鹿児島県の霧島市や姶良市では、住宅倒壊や土砂崩れ、浸水、キャンプ場の道路寸断による孤立などの被害が出ています。

姶良市では、裏山の土砂が崩れて住宅や空き家が押し流されました。
住宅は4人暮らしで、30代の女性と連絡が取れておらず、消防と警察が捜索中です。
他に女性2人が病院に搬送されましたが、命に別条はないということです。

霧島市では道路が冠水し、映像では車体の半分以上が水に沈んでいて、走る車の周りに大きな波ができていることが分かります。
さらには自動販売機なども流れるような威力があったことも映像から分かります。

このように霧島市や姶良市では床上浸水、床下浸水の被害が複数発生しているということです。

青井実キャスター:
市街地が広範囲で浸水していますが、なぜ一気に広まったんでしょうか?

フジテレビ災害対策チーム・山口吉博部長:
霧島市は8日午前6時までの12時間の雨量が495mm降りました。これは平年の8月の1カ月の雨量の2倍近く、それが半日で降ったことになります。鹿児島県は霧島市に災害救助法を適用すると発表しました。避難所の設置などは鹿児島県や国が負担をするということです。

鹿児島に降っている雨は午後4時現在、小康状態ということですが、8日夜遅くから9日朝にかけて前線の活動が活発化しています。
激しい雨が降る予想となっていて、24時間雨量は180mmの予想になっています。
引き続き、土砂災害に厳重に警戒をしてください。

宮司愛海キャスター:
雨が今、弱まっていても油断できないような状況に今後なっていくということですね?

フジテレビ災害対策チーム・山口吉博部長:
はい、まさにそのとおりです。これから雨が降ることも予想されていますし、土砂災害、川の増水、氾濫、低い土地への浸水などへの警戒は引き続きしっかり続けてほしいと思います。

鹿児島は日没が19時ごろということで、これから避難するという人もいるかもしれませんが、避難所に行くにも注意すべきことがあります。

まずは避難時の服装です。
長袖・長ズボンを着用し、底が厚めのスニーカーをはくといいということです。
そして、リュックで両手をあけて、自由に使える状態にすること。
さらに、下に何があるか分からないため、見えない部分を傘などで確認しながら歩くなど注意していただきたいと思います。

宮司愛海キャスター:
山口さん、これ以外に気を付ける点はどういったことがありますか?

フジテレビ災害対策チーム・山口吉博部長:
今の点が大事だと思いますが、やはり夜の避難は大変危険です。できるだけ明るいうちに避難するように心がけてください。また、冠水した場所は下の状況が分からないので、通るのはできる限り避けてほしいです。どうしても避難する際は、複数人で避難するようにしてほしいと思います。また、避難所に持っていくものについても、小さいお子さんがいたり、高齢の方と一緒に避難するなどと状況がそれぞれ違うので、余裕があるうちに持っていくものを確認してほしいと思います。

青井実キャスター:
周りにお子さんがいたりとか、そういった方には声をかけていただきたいですし、自分が避難していいのかどうか分からない場合も人に聞いたりして状況を確認し合うことも重要ですよね。
あとは、高齢者など1人での避難が困難な方はどうすればいいですか?

フジテレビ災害対策チーム・山口吉博部長:
高齢者の方は早め早めの行動が大事です。警戒レベル3、高齢者等避難の情報が出た段階で、早めの避難を心掛けてほしいと思います。また、親族や近所のネットワークにも早めに連絡してほしいと思います。避難時の備えも、どういったものが必要か早めの用意が必要です。

青井実キャスター:
避難が難しくなってしまう時間帯になった場合は自宅でもできることはありますね?

フジテレビ災害対策チーム・山口吉博部長:
避難できない場合は、自宅の中での安全な場所を確認してほしいと思います。自宅内のより高いところへの垂直避難や、崖側から離れて土砂災害から逃れるといったことも大切になります。

青井実キャスター:
竜太郎さん、住民の方も不安ですよね?

SPキャスター・中村竜太郎氏:
自治体は安全な避難を呼びかけていると思うんですけど、やっぱり住民は不安ですよね。そういう場合は、家族とか住民同士で会話を活発にしたりとか、あとは危険情報を共有すること。これが大事だと思います。それと、そのあと避難所で集まった時もメンタルをケアする、サポートするということも、とても大事なんじゃないかなと思います。

青井実キャスター:
山口さん、最新情報をとにかく入手していただきたいですね?

フジテレビ災害対策チーム・山口吉博部長:
気象庁のホームページ「キキクル」では、土砂災害、浸水、洪水などの危険度を確認することができるので、ぜひ活用してほしいと思います。そして明日(9日)からは3連休で、お盆休みなどで旅行に行かれる方も多いと思います。旅先での災害時の避難場所などあらかじめ調べて知っておくと、何か起きた際に慌てない行動ができるので、ぜひ、防災に役立ててほしいと思います。