5日、米の増産にかじを切る方針を示した石破首相。
米は足りているとしてきたこれまでの主張を180度転換する形となりました。
ソレってどうなの?6日のテーマは「方向転換“コメ増産”農家のホンネは」です。
5日開かれた、米の安定供給に関する関係閣僚会議。
石破首相は「増産にかじを切ること。コメを作るなではなく、生産向上に取り組む農業者が増産に前向きに取り組める支援に転換する」と述べ、事実上の減反政策に当たる生産調整から一転、米の増産を進めていく考えを表明しました。
これまでは「生産量が足りている」という認識により、備蓄米の放出方法やタイミングが適切でなかったことが米の価格高騰を招いたとの分析を示しました。
そして、米担当大臣を自称する小泉農水相も「人口減少などに伴って需要は減り続けるだろうといった見通しを、そこの判断を見誤ってしまった」と述べました。
人口減少などで米の需要は減るとの見通しでしたが、2024年は需要に対し生産が30万トンほど不足。
直近4年で生産量が需要を下回っています。
そんな中、依然として高騰が続く米の価格。
6日、都内のあるスーパーでは、銘柄米の価格は一番安くて5kg3800円ほどでした。
政府が、かじを切る米の増産。
消費者からは「コメの値段が下がったらうれしい。増産でコメの収穫量が増えて安くなったらありがたい」「安い時に買っているけど、なかなか備蓄米も買えないので、増産してくれるとありがたい」といった値下がりへの期待の声が聞かれました。
歓迎の声ばかりかと思いきや、苦言ともとれる発言もありました。
農業政策の歴史的な転換に、日本有数のお米の産地、新潟県・花角英世知事が安定供給のための増産は否定しないとした上で「『増産しましょう』と言って、すぐに増産できるものではない。食用米の増産ということになったとき、加工用米・飼料用米・酒米などに頼っている産業はどう手当していく。その問題もしっかり視野に入れて考えていただきたい」と述べました。
では、現場の米農家はどうでしょうか。
向かったのは千葉・旭市の米農家です。
以前、青井実キャスターも取材で田植えをしました。
収穫間近の田んぼには今回、稲穂が大きく育っていました。
祖父の代から70年にわたり一家で米作りをしてきた加瀬園芸・加瀬好基さんは、米増産の方針について「前からコメの全体量は率直に足りていないと思っていた。(コメ増産の方針は)一定の評価はするべきではないかと思う」と述べました。
加瀬さんのところでは、米不足などを見越して2025年は食用米を増やす対策をとりました。
それでも「やはり担い手不足だったり、渇水被害だったり いろんな土地の条件があるので、なかなかすぐに増産ということに関しては、すぐにできる問題ではないと農家は感じています」といった困惑の声が聞かれました。
青井実キャスター:
パックン、困惑の声が聞かれていますけども。
SPキャスター パトリック・ハーラン氏(パックン):
僕は、基本的に増やしたり減らしたりと政府が決めたりするのは良くない。市場に介入しないで、より安く生産できるように構造改革を進めて、農家の皆さんの利益を守りながら皆さんの食卓に安い米が届くようにしてほしいです。
また、加瀬さんの周りの農家からは、生産調整により作付けできない水田があることや農家の高齢化などを理由に、急な増産は難しいという声があるといいます。
さらにこんな懸念も…。
コメ農家・加瀬園芸 加瀬好基さん:
これが2年、3年後、コメの全体量がぐっと増えたとき、コメが余ってしまう状況になると、やはり価格の暴落につながってしまう。
政府は今後、米の増産に向けて農業経営の大規模化やスマート化を推進するなどして後押しするとともに、輸出の拡大も図っていく方針です。
これまでの主張を一転させる政策の方針が実るのか、今後の動向が注目されます。