素早い行動が生死を分けることに繋がる津波からの避難。
大勢の人が一斉に移動することで、さまざまな課題も見えてきた。
今回の津波警報で得られた教訓とは。
ガソリンスタンドに給油の列が
「駐車場には車が動けなくなるほど、たくさんの車が止まっています」(ヘリコプターからのリポート)
7月30日の北海道苫小牧市の様子。
高台の公園に避難する車が殺到し、周辺では渋滞も発生していた。
「早く車を止められる場所に止めて歩いた方が早いと思い、歩いて避難した。注意報ではなく警報だったので、逃げなければと思いここに来た」(避難した人)
苫小牧市内のガソリンスタンドでは、給油する車の行列もできていた。
「全然車の燃料がなくて、回り回ってやっと給油できた」(給油に訪れた人)

車で避難する途中の事故も起きている。
三重県では避難中だったとみられる軽乗用車が崖から転落し、58歳の女性が死亡した。
北海道でも伊達市の交差点で避難中の軽乗用車と乗用車が衝突し、3人が骨折などの疑いで搬送されている。
「渋滞するような場所や一本道しかない避難所など、事前にある程度把握しておく必要がある。どうしても慌ててしまうかもしれないが落ち着いて。いろいろなケースを想定しておくことが重要」(災害危機管理アドバイザー 和田 隆昌さん)

観光客にも影響が
避難を迫られるのは、地元に住む人だけではない。
北海道外から訪れていた人もいた。
根室市では観光客が避難所となった市役所で一夜を明かした。
「スーパーへ夜に行ったら弁当がひとつもなく、全部売り切れてしまっていた。市役所の人が弁当を配ってくれたので、なんとか夕食を食べることができた」(避難した観光客)
多くの観光客が訪れる函館市でも。
「バスも電車も止まっていたし、飲食店も営業していなかったのでどうしたものかと。ちょっと大変だった」(神奈川県からの観光客)

物流にも影響が出た。
釧路市のスーパー「あいちょう」は津波警報を受け、7月30日は臨時休業を決め全ての従業員が店から避難した。
「流通はかなりまひした。きのう届くはずがきょうになったり、きょう届くものがあしたになったりとか。そんなにすぐに食品が届かないことを皆さんに伝えたい」(あいちょう 相澤長昇社長)

混乱は行政にも及んだ。
7月30日、津波警報が出されたのは午前9時40分。
釧路市が約2800世帯に避難指示を出したのは、その約1時間20分後だった。
市の職員が情報収集に追われていたためで、すでに津波の第一波が到達した後だった。
釧路市は今後「訓練を徹底していきたい」としている。
