新型コロナウイルスの影響を受け世界は激変した。
各特派員が世界の今をリポートする。(第24回)

板挟みの韓国

米中の対立が深まる中、韓国が板挟みにあえいでいます。10月にアメリカのポンペオ国務長官と中国の王毅外相が立て続けに韓国を訪問するとの話が持ち上がっています。ポンペオ長官は安倍前総理が提唱した中国封じ込め策である自由で開かれたインド太平洋戦略への韓国の参加を促し、王毅外相はそうさせまいと圧力をかけるとみられます。板挟みになった韓国ですが、カンギョンファ外相はこのインド太平洋戦略について「良いアイデアではない」と発言。同盟国アメリカの戦略に同意しない姿勢を見せています。10月には韓国のアメリカ離れ、中国接近が浮き彫りになりそうです。(ソウル支局長 渡邊)

軍配はどちらに?

大統領候補による初めてのテレビ討論会。果たしてどちらに軍配が上がったのでしょうか。発言時間で見てみますと、意外にも、このように、五分五分の戦いを見せています。また、討論会後に大統領選での勝率が変化したのかを見ると、バイデン候補は78パーセント、一方でトランプ大統領は21パーセントで、討論会の前日より1ポイント下がっています。この1ポイント下落の意味は「トランプ大統領のコアな支持層は離れていないが、取り込むべき無党派層をうんざりさせた」ことだと分析しています。残り2回のテレビ討論会が大統領選にどのような影響を及ぼすのか目が離せません。(ワシントン支局長 藤田)

レストランでの飲食 半年ぶりに

ニューヨーク市では半年ぶりにようやく、レストランでの飲食が許可されました。早速準備する店もありますが、客数は最大収容人数の25%に制限されています。ただ感染への不安もって店内に入る人はあまり見られませんでした。ニューヨーク市は世界でもトップを争う家賃の高さ。
飲食店関係者は客数25%では採算が合わないと抗議の声を上げています。組合の最新の調査でもおよそ89%の飲食店が、8月は家賃を払えなかったと答えています。これから寒い時期に入るニューヨークで、感染対策と経済対策はまさに死活問題です。(ニューヨーク支局長 上野)

支持者集会かオンライン応援か

大統領選の討論会でトランプ大統領を応援するため、この会場には大勢の支持者が集まって熱気に包まれています。今回は新型コロナウイルスの影響で、民主党バイデン前f副大統領の支持者の多くはオンラインでの応援に切り替えています。一方、トランプ支持者の多くはこのように実際に集まって声援を送り、マスクをしている人はほとんどいませんでした。初の直接対決となった討論会は双方が非難合戦に終始。トランプ大統領は何度もバイデン氏の発言を遮るなど暴走ぶりが際立ちました。熱狂的なトランプ支持者の中にも「思っていたよりバイデン氏が良かった」と話す人がいたのが印象的でした。(ロサンゼルス支局長 益野)

手作り野菜で心を一つに

イギリスでは再び感染者数が増加していますが、そんな中、ある農家の取り組みが注目を集めています。デービッド・ウォルストンさんは所有する農地の一部を地元住民に無料で開放。できあがった野菜は新型コロナウイルスの影響で外出ができない高齢者や、生活の苦しい人たちに無料で提供するボランティア活動を始めました。活動を始めた農家 デービッド・ウォルストンさん「人々が一つになるのはよいことだ。参加者も作物を作り、必要な人々へ届けることを楽しんでいる」この日はこちらのホームレス施設に野菜が届けられ感謝の声があがっていました。ボランティアに参加している住民からも「コロナが広がる中疎遠になりがちな地域の絆が強くなった」と好評です。(ロンドン支局長 立石)

「表現の自由を守る」

預言者・ムハンマドの風刺画などを掲載し2015年にテロの標的となった風刺新聞、シャルリ・エブドの旧本社前です。今も壁に犠牲になった11人の似顔絵が描かれています。9月25日、ここで男女2人が刺される事件があり、イスラム過激派の犯行と見られています。シャルリ・エブドは、事件の裁判が始まるのに合わせて再び風刺画を掲載し、イスラム諸国から猛反発を受けていました。一方、フランスでは100以上のメディアが連名で「表現の自由を守る」という声明を発表し、連帯を表明したばかりでした。表現の自由か、宗教への冒涜か、対立が再燃する中で、テロへの懸念が広がっています。(パリ支局 藤田)

カフェ文化健在

旧市街の一角に来ていますが、こちらでは炭火で加熱する伝統的な方法でトルココーヒーを楽しめます。水から煮立てて、上澄みだけを飲むのが特徴です。ユネスコの世界無形文化遺産にも登録されている、「トルココーヒーの文化と伝統」。カフェ文化発祥の地とされるイスタンブールでは、オスマン帝国時代から知識人らがコーヒーを飲みながら議論を交わしたと言います。10月1日「国際コーヒーの日」の前に開かれる恒例の「コーヒーフェスティバル」は今年は新型コロナウイルスで中止されましたが、オンラインでの「コーヒー」の検索数は新型コロナウイルス前の6倍以上。売り上げも大幅に増えていて、カフェ文化は健在です。(イスタンブール支局長 清水)

北方領土実効支配

ロシアが北方領土の実効支配を正当化する動きを加速させています。菅総理は9月29日にプーチン大統領と初めての電話会談を実施。「北方領土問題に終止符を打ちたい」と決意を伝えましたが、会談後のロシア大統領府の発表には「平和条約交渉」の文字はありませんでした。ロシアは、会談の直前に国後島や択捉島で軍事演習を始めただけでなく、8月には敵の上陸を防ぐ地対艦ミサイルシステムを初公開。また、9月の対日戦勝75年に合わせたかのように、北方領土に侵攻した旧ソ連兵を「解放者」としてたたえる記念硬貨も流通させるなど、頑な姿勢は揺らぎそうにありません。(モスクワ支局長 関根)

「中国のハワイ」で爆買い

「中国のハワイ」と呼ばれる南シナ海のリゾート、海南島に来ています。中国では10月1日から建国記念日の8連休が始まり、のべ5億5000万人が国内旅行をすると予想されています。海南島は観光振興のため消費税などが免税となっていて、ショッピングも楽しめるのが人気の理由です。こちらの巨大ショッピングモールのブランド店では「爆買い」をする人たちの行列ができています。この間我慢していた反動もあってか、多くの人が国内でリベンジ旅行を楽しんでいて、消費も底堅く経済は回復基調です。一方、毎年この時期に多くの中国人観光客が訪れ、その恩恵を得ていた日本にとっては、厳しい状況が続きます。(北京支局 岩佐)

生まれたばかりの華南トラ

こちらの動物園では、トラの赤ちゃんが産まれたということで、きょうは特別に撮影をさせていただけることになりました。カメラを前に緊張気味の4つ子の姉妹。今年7月に生まれたばかりの華南トラです。中国固有のトラ・華南トラは国際自然保護連盟のレッドリストに登録されています。現在、中国では180匹程度が動物園内で飼育されているだけで、自然界でその姿を見ることはできません。乱獲のほか、環境破壊が絶滅の危機を招いた原因と言われています。こちらの動物園では別の動物園と共同で華南トラの種の保存に努めていて、ほぼ毎年、繁殖に成功。現在、24匹を飼育しています。かつては4000匹程度いたとされる華南トラが、絶滅のピンチから脱する日はくるのでしょうか?(上海支局 森)

一攫千金を夢見て

これはタイで大人気の公営宝くじです。日本円で1枚270円ほどで、1等の賞金はおよそ2000万円になります。売り上げも年々伸びていて、2019年は5000億円以上に達しました。明日は抽選が行われるとあって、こちらの路上では、一攫千金を夢見て大勢のお客さんが数字を選びながら購入しています。この宝くじですが、いまオンラインで販売する計画が持ち上がっています。
定価での販売徹底や違法くじの根絶などが狙いですが、全国に15万人以上いる販売員は「収入が減る」と反発。庶民の娯楽・宝くじのネット販売を巡って、思わぬ波紋が広がっています。(バンコク支局 武田)

【取材:FNN海外特派員取材班】