ニセ札輸入などの罪に問われていた元技能実習生の男性に熊本地裁が無罪判決を言い渡した裁判についてです。熊本地検は控訴を断念したことが31日、TKUの取材で分かりました。
この裁判はベトナム国籍の元技能実習生チャンヴァンビインさんがおととし、仲間と共謀し、ベトナムから日本に偽の旧1万円札合わせて176枚を輸入。その紙幣を県内の金融機関で両替するなどした罪に問われていたものです。
今月開かれた裁判員裁判で検察が懲役9年を求刑していた一方、チャンさんは「偽物の紙幣だと知らなかった」と一貫して無罪を主張。熊本地裁は17日、「チャンさんが紙幣が偽造されたものであると認識していたことについて、決定的な事情がなく、故意があったと認められない」として無罪を言い渡しました。
控訴期限の31日、TKUの取材に熊本地検は「判決内容を精査した結果、控訴しないこととした」と明らかにしました。これにより、チャンさんの無罪が確定することになります。チャンさんの弁護人を務める、村山雅則弁護士は「地検が市民感覚を尊重して適正な判断をしたものと考えている」とコメントしています。