日本代表のセッターとして活躍するも、胃がんを患い、2023年に31歳で亡くなった藤井直伸さん。故郷の宮城県石巻市で開こうとしていたバレーボール教室を、去年に続いて仲間たちが開きました。
バレー教室の講師を務めたのは、藤井直伸さんのチームメート、東レアローズ静岡の選手たちです。石巻市内の中学生、45人が参加しました。
藤井さんは旧大須中学校でバレーボールをはじめ、古川工業高校ではセッターとして活躍。順天堂大学時代には東日本大震災で実家が全壊しましたが、周囲の支えもあって競技を続けました。
藤井直伸さん
「被災地から頑張っている一員として、プレーしている姿を見せることしかできないので本当に頑張っていかなきゃいけない」
2017年からは日本代表にも選ばれ、2021年の東京オリンピックでは…。
実況
「李がいます。その李のアタック!」
所属の東レからともに日本代表となった李博選手との、“世界一美しい”と評されたBクイックを披露。夢舞台で活躍しました。
この時、29歳。さらなる活躍が期待されていましたが…。
藤井直伸さん
「ちょっと驚くかもしれないですけど、僕に胃がんが見つかりました」
目の不調から、ステージ4の胃がんが判明。2023年3月10日、31歳の若さでこの世を去りました。
果たせなかった故郷でのバレー教室。相棒の李博選手が、去年に続いて駆け付けました。
少子化の影響で、藤井さんが中学生だった20年前から、石巻圏域のチーム数は7にまで半減しました。変わりゆく環境の中でも、藤井さんの両親はバレーを通じて、人がつながり続けることを願っています。
藤井さんの母 みちえさん
「忘れないで来てもらえることがすごくありがたい。いま人との関係が薄くなっている時代の中で、バレーボールを通して人の輪であったり、何かを学んでもらいたい」
藤井さんの父 俊光さん
「続くことに意味があると思うので、できれば続けてほしい」
参加した中学生
「短い時間でしたけど、ためになることを教えてもらって良かった」
「やっぱり日本代表になってみたい」
東レや石巻市は今後も、この教室を続けていくことにしています。
東レアローズ静岡 李博選手
「自分は託されたと思っているので、自分たちでよければ、何度も来たいという思いでいます」