「戦後80年 過去を知る 未来に伝える」です。
全国公開され、すでに10万人以上を動員している映画「木の上の軍隊」。
主人公の一人は、小林市出身の男性がモデルです。
7月27日、監督が男性のお墓を訪れ、映画の完成を報告しました。
太平洋戦争末期、沖縄県・伊江島に派遣され、終戦を知らずに2年間、木の上で隠れて暮らし続けた日本兵2人の実話を基にした映画「木の上の軍隊」。
俳優の堤真一さん演じる少尉、山下一雄は、小林市出身の山口静雄さんがモデルとなっています。
7月27日、平 一紘監督は小林市を訪れ、静雄さんの次男・山口輝人さんと一緒に静雄さんの墓前で映画が無事公開されたことを報告しました。
(静雄さんの次男 山口輝人さん)
「色々とありましたけれど、今になって、明るい日差しを受けることが出来た」
「お父さんは本当に幸せ者だったと思っております」
(平 一紘監督)
「お墓の後ろに見えている景色がすごくきれいでこみ上げてくるものがあって、来れてとても良かったです」
「映画が本当の意味で完成した気がしました。本当の意味での映画の完成」
平監督がこう語った理由は、舞台挨拶で明かされました。
(平 一紘監督)
「山田裕貴さんの笑顔のカットで(映画は)終わるんですけど、この2人が帰った姿が見たい、どこに帰ったのか見たいという言葉を(感想で)たくさん目にしました」
「お墓参りをして、輝人さんと一緒に手を合わせて木の上で帰りたかった風景はここだったんだろうなと思いました」
会場には、輝人さんはじめ、静雄さんの孫やひ孫たちの姿も。
約2時間の上映中、輝人さんはただひたすらにスクリーンを見据えていました。
(静雄さんの次男 山口輝人さん)
「2年近く木の上で生活をするということは、本当に大変なことだったんだろうと思います。誰もが出来ることではなかったと思っております」
静雄さんが伊江島から帰ってきた後に生まれた三女の平 春子さん。
劇中のセリフが強く心に残りました。
(静雄さんの三女 平 春子さん)
「生きよう という言葉がすごく胸に響いて、これがすべてだったんだなと」
戦争映画でありながら、「生きること」がテーマとなっている木の上の軍隊。
劇中には、ユーモアあふれるシーンも散りばめられています。
(平 一紘監督)
「沖縄戦を題材にしたきっと悲惨な映画に違いないと思って見てしまうので、届く範囲が限られてしまうと思ったので、(2人が)くだらない話をして盛り上がった日もあっただろうし、ただ暇で過ぎた1日もあっただろうと想像が出来た」
「今までにない戦争を見せることが出来る映画になるなと思いました」
実際に映画を見終わった人からはこんな感想も聞かれました。
(映画を見た人は)
「悲しいというよりも良く最後まで耐え抜いて、必死に生きた人がいるということを知れる良いきっかけになりました」
80年前激戦の沖縄で故郷を思い、生き抜いた2人の日本兵。
その史実は映画となり、子孫だけでなく、多くの人に「生きることの意味」を問いかけています。