30日午前、カムチャツカ半島付近を震源とする地震により、全国各地に津波警報が発表され、今も和歌山県を中心に避難が呼びかけられています。
なぜこれほど遠く離れた場所で起きた地震によって、和歌山県にまで津波警報が発令されたのか、京都大学・防災研究所の西村卓也教授は、「東日本大震災並みの規模の大きな地震が起きたことで津波が到達した」と指摘しました。
一方、大きな被害が想定されている南海トラフ地震への影響は「考えにくい」と話しました。
(※2025年7月30日午後5時過ぎ時点の情報に基づく記事です。)
■「1日程度以上続く可能性」 津波の影響続く「夜にかけて準備を」
30日17時を過ぎていますが、警報がでている地域があります。気象庁の会見でもありましたが、少なくとも1日以上は、津波が継続する恐れもあるということです。
(Q.いつ頃まで警戒が必要?)
【京都大学防災研究所 西村卓也教授】「気象台が言ってますように、『1日程度以上続く可能性がある』と言うことで、津波注意報、あるいは警報が出ている間は、避難を続けていくということが必要です。気象庁では今の観測データも見ながら、注意報警報の解除のタイミングというのを見ておりますので、まずは気象庁の判断に従って行動していただきたい」
和歌山では満潮が21時、そして大阪でも満潮が22時半ということで、これから潮位がさらに高くなるということも予想されています。
【橋下徹さん】「お昼過ぎから、もう徐々に徐々に津波の高さが上がってきてますから、夜になると避難で動くなんてことはもうできません。今の段階でおそらく皆さん避難されてるかと思うんですけれども、昼に、まだ日が照ってるこの明るい段階で、避難準備と対策については万全を期してもらいたい」
【風間晋さん】「範囲が広くてなおかつ、ほぼ全国的に潮位のこのデータが更新されるごとに、津波の高さが上がってきてますから、そこを甘く見ずに対応してもらいたい」
第2波、第3波、そして何度も何度も津波というのは繰り返し襲ってきます。身の安全が確保されている方は、非難を続けてください。決して安全な場所から離れないようにしてください。
■「今回の地震は北米プレートと太平洋プレートの境界で発生」か
今回の地震の震源は、カムチャツカ半島です。
日本からみると北東の場所に位置し、ロシアの東側になります。
(Q.この地域は地震が多い?)
【京都大学防災研究所 西村卓也教授】「はいそうですね。この地域も日本と非常に似通った地域なんですけれども、海の方の太平洋のプレートが陸のプレート(北米プレート)に沈み込んでいるところになります。海のプレートが陸のプレートを押すことによって、陸のプレート側に“ひずみ”がたまっておりまして、この境界で過去にも大きい地震が発生してきました。今回の地震も北米プレート、太平洋プレートの境界の部分で発生した地震と考えられています」
■カムチャツカ半島から約3000キロ なぜ関西にも津波が?
カムチャツカ半島と和歌山は2800キロ離れています。
なぜここまで離れていて、影響が関西にも出ることになったのでしょうか?
【京都大学防災研究所 西村卓也教授】「これは地震の規模がとにかく大きかったということになります。マグニチュードがここで今画面に出てるのは8.7。アメリカの地質調査所の調査だと、8.8というような数字も出ておりまして、どちらにしてもマグニチュード9に近い地震だったということです。
このぐらいの規模というのは、2011年の東北地方太平洋沖地震、東日本大震災とほぼ同じぐらいの規模の地震ということですので、規模の大きな地震であるがために、津波がより遠いところまで到達したということになります」
■南海トラフ巨大地震とのつながりは? 「考えにくい」
(Q.南海トラフ巨大地震とのつながりは?)
【京都大学防災研究所 西村卓也教授】「規模は大きかったんですけれども、直接この今回の地震が、南海トラフ地震に何か影響を与えるということは考えにくいと思います。距離が3000キロぐらい離れていますので、津波などは伝わってくるんですけれども、その地震の力そのものは、関西、西日本までは伝わらないと考えられます。影響は小さいと思います」
(関西テレビ「newsランナー」2025年7月30日放送)