28日、4時間半にわたって開かれた自民党の両院議員懇談会。出席した議員からは「この場で辞意表明を」と石破総理に迫る声が上がったということだ。
そして29日朝には、「総裁選の前倒し」を議決することもできる「両院議員総会」の開催も決まったということだが、森山幹事長は「総裁選の前倒しは議題にならない」との見通しを示している。
この状況について、元日本テレビ解説委員でジャーナリストの岸田雪子さんは、29日、関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」で、自民党執行部が両院議員総会の開催を決めたのは、「総裁選の前倒しを訴える議員たちへに執行部が先手を打った形だ」と述べ、総裁選の前倒しを回避するためのものだと解説した。
さらに報道各社の世論調査で石破総理は「辞任すべき・辞任は必要ない」という結果が、ほぼ半々となる社もあるなど拮抗している状況を背景に「世論を意識して続投の意を強くしている」と話した。

■両院議員総会の開催「執行部の戦略として先手打った」
岸田雪子さん:(両院議員)総会(の開催)はおそらく執行部の戦略として先手を打ったと思うんですよね。党内から署名集めが上がってきて、所属議員の3分の1で『総会だ』、半数で『総裁選だ』※というのを先制として止めるために、執行部の方から開きますよと。
※自民党の党則で、「総裁の任期満了前に、党所属の国会議員及び都道府県支部連合会代表各一名の総数の過半数の要求があったときは、総裁選を行う」という規約がある。
岸田雪子さん:(総裁選目倒しの前提となる、党所属国会議員の署名を)過半数まで集められるかという、せめぎ合いは私は続いていると思います。

■石破総理「国民世論と党の考えが一致することが大事」発言の背景は
また、石破総理の進退について、「続投の意思が予想以上に固い」と状況を明かした。
岸田雪子さん:党内を取材してみて、ちょっと想定外だったのは、執行部が先制攻撃というか、カードを切ってくる。森山幹事長も辞意を匂わせたというところも1つのカードだったわけですが、そのあたりが想定外だったのと、石破さんの続投の意思が予想以上に固いということですね。
岸田さんが取材をする中で、石破総理の言葉で気になった言葉があったそうだ。
それは「国民世論と党の考えが一致することが大事」という言葉。
石破総理が「世論」という言葉を使った意図を岸田雪子さんが解説した。
岸田雪子さん:(両院)懇談会の後の総理の一言でちょっと気になったものがありまして、あえて『世論』って言葉を使っていて、選挙の結果だと『民意』って使うと思うんですけど、この『世論』というのは、この土日のメディア各社の世論調査のことを見ているのではないかと思います。

■石破総理は「世論を非常に意識して続投の意を強くしている」
実は今月26・27日に実施したFNNの世論調査でも、「石破総理の進退」については、
石破総理は辞任すべき:47.7パーセント
辞任しなくてよい:44.2パーセント
と拮抗する結果が出ている。
これを受けて、自民党内からも「辞任しなくていいという声が想定以上に多かった」という声が出ていると岸田さんは明かす。
そして岸田さんによると、石破総理は各社の世論調査の結果を小数点以下まできっちり把握しているということで、「世論を非常に意識して続投の意を強くしている」と説明した。
岸田雪子さん:石破総理は『党内野党』なんて言われたこともあって、国民世論が後ろ盾なわけですよね。だから世論がどういう風に支持しているかで、今の(状況を)コップの中の争いと見られていないか、世論はどう見てるんだろうかというところを非常に意識して、今は続投の意を強くされてるところがあるんじゃないかなと思います。

■「野党支持者からも石破総理は支持されている」と神崎報道デスク
また、FNNの世論調査(今月26・27日に実施)では、今後の政権運営の枠組みについて調査したところ、以下のような結果となった。
自公政権の継続:13.9パーセント
現在の野党中心の政権に交代:34.1パーセント
自公に野党の一部が加わった政権:46.3パーセント
関西テレビ・神崎博報道デスク:今回の選挙で自民党は『ノー』って言われたけども、この世論調査のデータが見ても石破さん自身はそれほど批判されたわけじゃなくて、『辞めるな・辞めろ』っていうのがちょうど拮抗してる状態になっていて、最も多かったのは、現与党の「自・公に野党が加わって政権を運営してほしい」というもので、世論は野党だけで政権交代が起きるような事態を求めているわけではないということがうかがえます。
石破総理は衆議院で(与党が)過半数ない状態で、いろんな野党の話を聞きながら法案を通していった。野党の意見も通るという意味では、石破さんの方が聞く耳を持ってるというところで、野党支持者からも石破さんは支持されている。

■「民意を受けるという意味では政策を語ってほしい」と岸田雪子さん
こうした世論調査の結果を踏まえて、石破総理は世論を味方にして続投しようとしているのか。
岸田雪子さん:とはいえ(直近の衆院選・都議選・参院選の)選挙で3連敗していて、やはり責任を取らないというのは誰もついてこれないですよね。
民意を受けるという意味では、政策を語ってほしいと思うんですよ。消費税の減税が本当にできないのか。もちろん株価とか金利の要求を見ながらどこまで財源を出せるのか。あるいは社会保障費を減らすのか、このあたりも含めた議論を石破総理自ら(両院議員)総会で語ってほしいですよね。
『この政策をする、野党も話し合うからあと1カ月時間をくれ』ということになれば、また違うかもしれません。
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年7月29日放送)
