朝市が観光地として知られ、早朝からにぎわう呼子朝市通り。一方、高齢化により通りは空き家も増えています。こうした中古民家を活用して地域を盛り上げる取り組みが進んでいます。
【岩部リポート】
「午前8時の呼子朝市通りに来ています。店の前には多くの観光客が列を作っています。」
「いらっしゃい、いらっしゃい朝獲れのイカですよ」
【神奈川から】
「イカがおいしいということでぜひイカを食べたいということで来た」
【宮崎から】
「ホタテとイカとアワビを食べました。全部新鮮でおいしかったです」
県内外から多くの観光客が訪れる呼子朝市通り。
この日も家族連れなどで賑わっていました。しかし・・・
【店の人】
「店を出す人が高齢になり少なくなった」
【店の人】
「お客さんが多いのは土日くらい。普通の日は少ない。お客さんいっぱい来てもらって店を出す人もいっぱい来られるようになったらいいけどね」
捕鯨で栄えていた呼子のまち。
朝市は大正時代に始まったとされ、多いときは100店舗が並んでいましたが現在は半減しています。
こうした中かつての賑わいを取り戻そうと2年前に始まったのが「鯨の町興しプロジェクト」です。
【進藤さわと社長】
「ちょっと過疎化が進んできてまだイカの活き造りとか朝市で人が来てますけど、若干先行きは苦しくなっていくかもしれない。面白いことをやる人が増えていくと点が線になって相乗効果を生みやすい。賑わってきやすい」
このプロジェクトを引っ張るのは神奈川県で海外雑貨の販売店などを経営する進藤さわとさん49歳。
きっかけとなったのは他界した父の故郷である唐津を訪れた際に見た呼子の光景でした。
【進藤さわと社長】
「古い町並みは残っているんですけど空き家になって壊されていたりとかそういうのを見てこの町並みを守るということも含めて観光の活性化も含めてなんらかの手をうちたいなと」
もともとは父の幸彦さんが熱心に取り組んでいたという呼子の町おこし。
跡を継いだ進藤さんは古民家を活用し、店舗を増やすことで町の活性化につながると考え6軒の空き家の改装を計画。
現在2店舗が営業を始めています。
そのうち、今年5月にオープンしたのが「甚六果実店」
旬の果物を使ったかき氷専門店です。
果物は唐津市内の農家から仕入れていて、器も唐津焼を使用するなど地元産にこだわっています。
【進藤さわと社長】
「やっぱり古民家でしか出せない味のあるお店ができたと思っていますし、達成感がありますね。すごい劣化していたんです。ところが直していくとこういうなかなかゼロから今の建築では作れない世界観が作れる」
店長の村田さんは、プロジェクトに賛同し東京から移住したといいます。
【村田真希店長】
「お店をこれからどんどん立ち上げていくと聞いたときに私には面白い要素しかないなと思って。朝以外にも開けているお店が増えてたくさん呼子に人が来ていただけるような町づくりを目指していけたらいいなと」
【お客さん】
「おいしいです」
「おいしいね」
こちらは1年前にオープンしたクラフトビールの醸造所「ホエールブルーイング」
イカの活き造りの料理店などを展開している「河太郎」が経営しています。
所長の近藤さんは、呼子を盛り上げたいという思いで30年以上務めた金融機関を退職し家族で移住しました。
【近藤健一所長】
「ここができたことによって若い人が来てくれないかなといつも思っています」
築80年の古民家を活用し、美しく生まれ変わったブルワリーは、建築を学ぶ学生などが見学に来ることも。
【近藤健一所長】
「このブルワリーが地元の方やここを訪れる方の交流の場としての役割を果たしている感じがしている」
また、クラフトビールは、全国のビールの品評会で味と品質が認められ、わずか1年で3つの銘柄すべて銀賞を受賞しました。
【近藤健一所長】
「今年の終わりくらいには日本一のサウナができるのでサウナビールも作る計画もある。すごくにぎやかになってきている。これからもっと頑張らないとなと思っている。」
今年の冬には、宿泊施設や食堂、サウナなど4店舗がオープン予定で今後は朝市だけではなく午後まで楽しめる観光地を目指しています。
【進藤さわと社長】
「6店舗どうにかしたら町全部が変わるとは到底思っていない。ただ、面白いことを僕もやってみたい私もやってみたいという人の火付け役になればひとつ成功。そういう立ち位置で火付け役になるようなお店を開いていきたいなと思っています」