福島市・飯坂温泉に拠点を構えるプロeスポーツチーム「FUKUSHIMA IBUSHIGIN」。そこで格闘ゲーム「ストリートファイター」に打ち込むYanai選手は、世界大会で6600人中9位の成績を残した福島が誇る実力者だ。しかし、その輝かしい活躍の裏には、乗り越えてきた苦難と、支え続けた家族の存在があった。

■事前の準備は怠らない
福島が誇るプロゲーマーYanai選手の強さの秘密は徹底した分析力にある。自分の課題や対戦相手・キャラクターの弱点を細かくメモし、コントローラーのメンテナンスも怠らない。「大きい大会で勝つために、どうしても色々なことをやらなくてはと思っている」と語るYanai選手は、飯坂温泉のIBUSHIGIN拠点で毎日8時間以上、画面と向き合い練習に打ち込んでいる。

■プロゲーマーの日常
どのような生活を送っているのか聞いてみると、「基本的には10時に起きるスケジュールにしている。規則正しい生活は、ゲームの強さにも繋がってくると思う」と話す。
健康管理も徹底していて、毎日自炊をして栄養が偏らないようにしている。そして、週に3日は筋トレを行っている。「大会でギリギリの勝負の時にどっしり構えられるというか、メンタル強化には繋がっていると思っています」という。

■父から見た息子の性格
2000年に福島県郡山市の自然豊かな場所に生まれたYanai選手。たくさんの愛情を注がれて育った。父・箭内清己さんは「こういう風になるとは、全然思ってもみなかった。新聞に出たよと知り合いから連絡が来て、東北初のプロゲーマーになったと知って驚いた。昔から頑張り屋で、悔しくなると泣く。勝負強さとか負けん気の強さとかもあって、涙が出てしまうのもあるのかな」と振り返る。

■つらい時期を支えたゲームと家族
しかし、今の活躍に至るまでに苦しい時期があった。「男のクセに泣くな」・・・中学生の時に大人から言われたこの言葉が、ヤナイ選手の心を深く傷つけた。
父・清己さんは「中学校の夏休み明けから学校行けなくて、理由を聞いてもわからなくて、泣いてばかりいて“学校いけない”と」と話す。
大人に恐怖心を抱くようになったYanai選手は中学3年生から約1年間不登校になった。父・清己さんが「会話を常にずっと続けていて、ゲームの話をしたり、気晴らしにどっか連れて行ったり」というように、Yanai選手の支えとなったのが家族、そしてゲームだった。「自分の殻を破れたのは、すごいことだなと思う。本当に大人恐怖症で、大人と全然喋れなくて、挨拶もできないくらいだったあの頃は。今は自分からすすんで話しするし、ゲームの解説している姿を見ていると、成長したなって思う」と父・清己さんはいう。

■悔いのないように
両親には感謝をしているというYanai選手。「学生時代とか仕事をしていた時は上手くいってないなっていう感じではありましたけど、ゲームっていうか専業になってから、自分として人としても成長できたというか、本当にありがたいなと思う。生まれ育った福島でずっとやって来ているので、悔いのないように活動していければ」と語る。

仲間やライバルとゲームを通して通じ合うことが、技術も心も成長するきっかけになったと話すYanai選手。大好きなゲームで夢をつかみ、そして今では夢を与える側になったYanai選手の今後の活躍に期待したい。

福島テレビ
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