日米の関税をめぐる交渉の結果、日本への相互関税はアメリカが宣言していた25％から15％に引き下げられることで合意しました。一方、アメリカ産米の輸入量を拡大することになっています。この関税交渉の結果が新潟県内に与える影響を取材しました。
■日本への相互関税15％に引き下げ 専門家はどう見る？
【石破首相】
「対米黒字を抱える国の中で最大の引き下げ幅を得られた」
石破首相が成果を強調するのは、アメリカとの関税交渉の結果です。
アメリカは8月1日から日本に対して25％の関税を発動すると宣言していましたが、度重なる交渉の結果15％に引き下げることで合意しました。
地域経済に詳しい新潟医療福祉大学の栗井准教授は。
【新潟医療福祉大学 栗井英大 准教授】
「結論から言うと、それほど悪くはない水準なのかなという気はしている。実際、日経平均株価も2日間で2000円程度上がっているので、そういったところでもマーケットも前向きな評価をしているのかなというふうに思う」
日本の輸出品目のうち大きな割合を占める自動車とその部品について、今年4月から課されている追加関税が既存の分を含めて15％に引き下げられたことも「日本経済全体にとってプラス」だと話します。
ただ、トランプ関税が発動される前の昨年度末と比べると、全ての輸出品目に追加で関税が課されているため、その影響を注視しています。
【新潟医療福祉大学 栗井英大 准教授】
「トランプ関税が4月から一部発動されている中で、日本の経済も少し実は落ち込み始めている兆しも出ている。そうなってくると、新潟県経済にとっては悪影響が広がっていく可能性が懸念される」
■アメリカ産米の輸入75％増に農家から不安の声
県内経済への影響はほかにも。
【齋藤正昂アナウンサー】
「アメリカとの関税引き下げ交渉のカードの一つとなったのがコメです。農家の間にも不安が広がっています」
合意された内容には、アメリカ産米の輸入を75％増やすことなども盛り込まれています。
【小泉農水相】
「決して農業を犠牲にすることはない。この言葉の通りの交渉をやっていただいたと思っている」
日本政府はコメについて関税をかけずに輸入している“ミニマムアクセス”の枠は維持し、その中でアメリカ産米の割合を増やすもので「コメを輸入する総量は増えない」と説明するものの…。
【コメ農家 堀井修さん】
「新潟県のコメの生産量は約56万tでしかないから、それ以上のものが入ってくるのは我々にしてみれば不安」
小千谷市のコメ農家・堀井さんはアメリカの大規模な田んぼで作られたコメとの価格競争について不安を口にします。
【コメ農家 堀井修さん】
「この村（集落）全体で80ヘクタール。ところが、アメリカでは（1軒）1000ヘクタールが珍しくない」
さらに…
【コメ農家 堀井修さん】
「（Q.黄色くなっているのは暑くて栄養不足に？）そう。やっぱり肥料の息切れ。そういうような状況の中でうまく穂を出していくためにはもうちょっと（肥料を）くれと」
暑さ対策に欠かせない肥料は価格が上がっていて、厳しい経営状況が続いているといいます。
堀井さんは安価なアメリカ産米の輸入がまもなく収穫を迎える今年産のコメの価格に与える影響を不安視しています。
【コメ農家 堀井修さん】
「私のところの田んぼのコメをみんなで（食べてもらいたい）。これだけ広い田んぼがあるわけだから、みんなでそれをもう一度見直してもらいたい」
