政府は7月23日、交渉を続けていた日米の相互関税について、15%で合意したと発表しました。経済の専門家は県内への影響は「限定的」とする一方で、アメリカでも人気が高まりつつある日本酒の輸出にマイナスの影響があると分析しています。

石破首相
「守るべきものは守った上で、日米両国の国益に一致する形での合意を目指してまいりました」

政府は23日、日本とアメリカの間で協議が続けられてきた相互関税について、当初、アメリカ側から提示されていた「25%」から、「15%」に引き下げて合意したと発表しました。

七十七リサーチ&コンサルティングの田口庸友さんは、宮城からアメリカに直接輸出している企業は多くはないため、県内経済への影響は「限定的」とする一方、今後、アメリカ市場への輸出拡大が見込まれる日本酒などにとってはマイナスの影響があると話します。

七十七R&C 田口庸友主席エコノミスト
「今年4月以降、10%の相互関税がかかっていて、これが25%になるところが15%になったんですが、結局5%分関税、輸出コストが追加された格好になり、この5%の追加分について輸入業者と事業者どちらで負担するか交渉が始まると思いますが、いずれにしても条件が不利になることは間違いない」

国税庁によりますと、日本酒を含む酒類について宮城県の輸出国の第一位は3年連続でアメリカ。(国税庁「酒類製造業及び酒類卸売業の概況」より)
去年12月に日本の「伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産に登録されたことも追い風として輸出の拡大が模索される中、出鼻をくじかれる格好となりました。

田口さんは、おととし中国が福島第一原発のALPS処理水の海洋放出に伴い、日本産の水産物の輸入を全面的に停止した例を引き合いに、平時から「輸出先の多角化」と「商品価値の向上」に力を入れることが重要と話します。

七十七R&C 田口庸友主席エコノミスト
「アメリカや中国などあまりにも魅力的で大きなマーケットであるがゆえに、そこに依存しすぎるリスクが浮き彫りになった。とにかく品質や付加価値を高めて、関税に負けない、高く売れる、といった競争力をつけていくことも大事になると思います」

仙台放送
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