連日続く猛暑。そんな時に食べたくなる夏野菜が今、収穫前に傷むという被害が増え、価格が高騰している。
さらに取材を進めて判明したのは、豚肉の値上がり。
猛暑による”夏バテ”でブタがエサを食べず、出荷が遅れた結果、「100円200円ポンポン上がる」というほど値段が上がっているというのだ。
そんな食卓の救世主はなんとジャガイモ?!
夏の危機を徹底取材した。

■トマトやナスの価格が高騰
異変を探ろうと、まず取材班が向かったのは、大阪市内のスーパー。
記者リポート:トマトが138円。奥にナスもありました。238円です。平年よりも価格が上がってるように感じます。
夏になると食べたくなるのが、爽やかな夏野菜。
しかし、農林水産省によると、その価格はトマトが1キロ当たり472円と平年より118円、ピーマンが583円と平年より121円高くなっている。
このスーパーでも1カ月前と比べて、トマトやナスが値上がりしているということで…。
フレッシュマーケットアオイ 内田寿仁社長:果菜類が、徐々に徐々に値上がりしている。まだまだこれから晴天、高温が続くと、どんどん値段が上がっていくんじゃないかな。

■ことし特有の理由 「6月の猛暑日」、「梅雨の短さ」
一方で、猛暑だったのは去年も、一昨年も同じこと。ことし特有の理由が何かあるのか。
取材班は、野菜を育てている現場へ。
神戸市のこの農家では、トマトなどの夏野菜を栽培している。
ヤスオ農園 安尾憲太郎代表:40度超えてますね。なかなかすごい温度です。割れてしまって、そこからカビが生えてしまう。割れ玉が最近多くて、出荷できない状態。
さらに、表面が白く変色しているものも…これらは高温障害と呼ばれる被害だ。
ヤスオ農園 安尾憲太郎代表:水不足。ことしほぼ雨降ってないんで、水かけはするんですけど、ホースの水では追い付かない。暑くなるの早かったですね。7月入ってからめっちゃ暑くなりましたので、野菜も急に暑くなったからびっくりしてしまって。
ことしは例年より早い6月から猛暑日を記録していたことに加え、梅雨も短かったため、農作物が水分不足に陥るなど、うまく育たず、収穫量が減少し、価格が高騰しているというのだ。

■豚肉の価格が急騰「100円、200円とかポンポン上がってきて」
夏野菜にも深刻な被害をもたらす、ことしの猛暑。
しかし、その影響は野菜だけに留まらない。
取材班が訪ねたのは、大阪市にあるトンテキ専門店。
豚肉には、夏バテ防止効果が期待されるビタミンB1が豊富に含まれていて、価格も手頃。家計の味方のはずだが…。
HONMACHI豚テキ 伊原貴志オーナー:(以前は)1キロ860円とか、850円とかそんな感じだったけど。最近になって100円、200円とかポンポン上がってきて。

今、豚肉の価格が急騰している。
農林水産省が発表した国産の豚肉の卸売価格の推移を見てみると、連日暑さが続いた、6月頃から急激に高くなり、7月18日時点では、統計開始から最高値となる1キロ948円に。
コメの価格の高騰も相まって、店も値上げせざるを得ない。
HONMACHI豚テキ 伊原貴志オーナー:全商品50円ずつぐらいは上げさせてもらって。申し訳ないんですけど上げさせてもらわないと、ちょっとできない状態ですね。

■水の奪い合いも…暑さに弱い豚 夏バテ・熱中症で出荷の遅れ
豚肉はなぜ史上最高値にまで高騰しているのか?
背景を探ると、その影響はことしだけにとどまらない可能性も見えてきた。
実状を語ってくれたのは、和歌山県にある養豚場。
現在、関東地方で豚熱が発生しているため、養豚場の方にカメラを渡して撮影してもらうと…。
アグリズム熊野 上脇新一さん:みんな暑くて寝てます。
猛暑でぐったりとした様子の豚。
この豚舎の中で起きていたのが…。
アグリズム熊野 上脇新一さん:水の奪い合いです。
猛暑は豚にどういった影響を与えているか聞いてみると…。
アグリズム熊野 上脇新一さん:豚は暑さに弱いので、食欲不振になっちゃって夏バテもありますし、熱中症もあるのかなという感じです。脂肪量が減ってしまうので、おいしさが半減してしまう。
こちらの養豚場では、通常110キロ以上の豚を出荷しているが、この猛暑でエサを思うように食べず、出荷の時期が2週間ほど遅れることも…。その結果、価格の高騰につながっているとみられる。

■猛暑が“豚の繁殖”にも影響
さらに話を聞くと、来年以降にも影響が出かねない状況も見えてきた。
アグリズム熊野 上脇新一さん:今から種付けする豚ですね。うまく受胎するのかなという所はある。ほしいときに豚がないという状態になってしまいます。
猛暑で来年の豚の繁殖も難しくなっているという。
アグリズム熊野 上脇新一さん:正直、神頼みですよね。涼しい夏であってくれと。
(Q.ことし“梅雨”短かったが影響は?)
アグリズム熊野上脇さん:かなり出てますね。(気温が下がる)恵みの雨でもあるので、ことしみたいな異常気象は困る。

■専門家は「長期的に続く可能性もある」と指摘
肉も野菜も価格高騰が止まらないことしの夏。
農作物の流通などに詳しい専門家は、「この価格高騰は、長期的に続く可能性もある」と指摘する。
北海道大学農学部 坂爪浩史教授:電気代も上がってますし、肥料・農薬などの投入資材も非常に価格が上がっています。生産コスト自体が上がっている。労働力も慢性的に不足をしていますので、慢性的な供給不足になる可能性は、考えておく必要がある。
異常な暑さによる、異常な食材の高騰。
次はこの時期にお買い得になっている食材を紹介する。

■食卓の救世主となりそうなのは「ジャガイモ」
食卓の救世主となりそうなのが「ジャガイモ」で、去年の同時期より1キロ当たり150円ほど安くなっている。
梅雨が短かったことから、収穫が好調だということだ。
田中友梨奈アナウンサーのおすすめの料理は「ポテトサラダ」。
耐熱のポリ袋に入れてレンジで加熱し、コンソメを入れて潰すと美味しくできるそう。
こうした物価高への対策は参院選の争点にもなった。
ジャーナリスト鈴木哲夫さん:気象だけじゃないんですよね。飼料が上がっているとか、電気代が上がっているとか。外側の人的な問題もある。政治がやらないと大変なことになりますよ。
(関西テレビ「newsランナー」 2025年7月23日放送)
