20日に実施された選挙の結果、参議院でも「与党過半数割れ」の状況になり、自民党内からは石破総理に辞任を求める“石破おろし”が加速しています。
関西テレビ「旬感LIVE とれたてっ!」に出演した、政治ジャーナリスト・青山和弘さんが独自取材で得た情報によると、石破総理は「早期辞任不可避な情勢」ということです。
■石破首相 首相経験者らと面会へ “続投表明”説明へ
【青山和弘さん】「すでに自民党内では、(石破総理の辞任を求める)署名活動が始まっています。もう”党分裂か”というぐらいの話です。あと地方組織からも反対の声が上がっている、こういう状況の中で自ら身を引くしかない状況になってきてる。
石破さんにもきのう(=22日)取材したんですが、その状況に対して、色々不満はあるようですけれども、分かってるんです、自分も。ただ最後、今回の関税交渉もあるし、私は決断したとは、まだ言いませんけれども、『不可避な情勢』になってるとことは、もう石破さん本人も意識しているということで良いと思います。あとはいつ発表するか」
石破総理は23日午後2時ごろから自民党の菅元総理、岸田前総理、麻生元総理ら3人の総理経験者と会談しました。派閥がなくなったいまも、この3人は強い影響力を持つのでしょうか?
【青山和弘さん】「逆に派閥がないから、ここの人たちに頼るしかないんですよ。実際、石破さんが今回、総理大臣になれたのも、岸田さんが最後決戦投票で支援したからです。総理大臣経験者としてご存命の3人が最後、自民党の再生をかけた責任を負うという姿勢の表れでもあると思います」
■続投の“表の理由” アメリカとの関税交渉
現在吹き荒れている“石破おろし”。石破総理はどうして続投を表明しているのでしょうか。
青山さんによると石破総理が続投する理由には、“表の理由”と“裏の理由”があるということです。まず“表の理由”について。
【青山和弘さん】「“表の理由”は、『アメリカの関税措置、物価高、自然災害、安全保障などの国難とも言える厳しい状況で、最も大切なことは、国政に停滞を招かないこと』。自然災害には地震などもあるので、『すぐ地震が起こるかも』そんなこと言ったら、日本じゃ誰も総理大臣代われなくなっちゃうんですが、こうしたことを理由にして、国政に携帯を招かないことを理由にしています」
【青木源太キャスター】「アメリカの関税交渉については、きょう合意ということで、一気に動きましたよね」
【関西テレビ 江口茂解説デスク】「けさ=23日朝、電撃合意のニュースが飛び込んできました。当初は8月1日から、日本の輸入品に関税25%に引き上げるぞという話だったんですけれども、それが15%に引き下げられるという話になりました。ただし、日本からは80兆円の投資、米や農産物の輸入を開放するというような話が、これはトランプ大統領のSNSで言われている話です。焦点の自動車の関税については、4月から25%になってましたけれども、これが15%に引き下げられるという話になりました。『一安心かな』という観測も流れましたが、まだ全体像が分かっていませんし、自動車に関しては、元々2.5%だったものが、急に25%に引き上げられ、それが半分ぐらい押し戻したという形なので、日本経済の影響はまだ残ります」
【青木源太キャスター】「考え方として、例えば『関税交渉まとまったから、一区切りついたよね。辞めましょう』という話と、『関税交渉まとめました。ほら、どうだ、うまくいったでしょ。もっとやらせてくれ』と、2つある気がするんですけれども」
【青山和弘さん】「もちろん一定の前進を見たというか、最悪の事態は逃れたという形に見えますけど、まだ実態が分からないのがひとつ。それとこれが妥結しようが、しまいが、参議院選挙の結果は変わらないんです。これが民意だから、『これが妥結したから、やめなくていいでしょ』というのは、私は無理があると思います」
■“裏の理由”の森山幹事長が黒幕? 派閥もガバナンスもない自民党
つづいて“裏の理由”について解説です。
【青山和弘さん】「キーパーソンが1人いまして、森山幹事長という方です。石破さんは、とにかく幹事長になれる人が自分の側近にいないので、森山さんという党内実力者に頼った。この人は、『もう石破さんと一緒に政権を維持しよう』ということで、今回結託したんですね。自民党内を取材すると、大体9割ぐらいの議員は、『もう石破さんやめるべきだ』と言っていて、ほとんど全員と言っていい。ただ、執行部の森山さんを中心とした一部と、石破さんの側近だけが続けていいんじゃないかぐらいの状況です。
総裁と幹事長が結託すると、自民党というのはそれで運営できちゃうんですよ。要は簡単にやめさせることができない。だから署名活動とかでなんとかしようとしてるんだけど、難しい。先ほど言ったように、鈴をつけるような、派閥がまとまって、『もうやめてくれ』と言うような人もいない。
例えば橋本龍太郎さんがかつて総理大臣で参議院選挙で辞めたんだけど、その時には親分の竹下登さんがまだご存命で、元老みたいな立場でいて、『もうみっともないことはするな』というような、やっぱり規律があったんです。今はもう派閥もないし、ガバナンスのない自民党になっているという証拠。それでこの2人が結託すると、なかなか辞めさせづらいという状況はあるんです」
(Q.野党との連立はしんどいのでは?)
【青山和弘さん】「そうなんですよ。つまり、石破さんの存在そのものが、実は国政の停滞の原因になる可能性もあるというのは、非常に考えなきゃいけないところ」
■総理経験者3人も”石破総理は辞めるべき”?
【青木源太キャスター】「総理大臣経験者3人との面会というニュースがありましたけれども、もともと麻生氏は割と石破総理に厳しめという話が伝えもれていたじゃないですか?」
【青山和弘さん】「麻生さんは自分が総理大臣の時に、都議選で負けたんですね。負けた時に石破当時農水大臣、麻生内閣の閣僚だった石破さんが、『早く辞めなさい』と言いに行ったんです。そのことを未だに恨んでると言うと強いけど、覚えてるんですよ、根に持ってる。今回、逆の立場になっちゃったんですね」
【青木源太キャスター】「岸田元総理、菅元総理の立場とすれば、『もう石破総理、身を引きましょうよ』という立場なんですか?」
【青山和弘さん】「もともと岸田さんは、石破さんが総理大臣になる時に決選投票で、岸田さんの一派が乗ったからなれたんですね。そうじゃなきゃ高市さんになってたんですよ。なのでこの人には、製造責任があるはずなんですけども、この事態を受けてこれを続けても、本当に臨時国会乗り切れるわけがない状況になっていので、菅さんも石破さんと協力関係に一定あったんだけども、この2人も『もう辞めるべきだ』ということでは大体一致してるんですね」
【青木源太キャスター】「一部報道では、(23日)昼前ぐらいに、“石破総理が退陣の意向を固めた”というような報道も、一部出たじゃないですか。だとすると進退について決断するタイミングというのは?」
【青山和弘さん】「いつがタイミングなのかというのが難しいですね。きょう言ってもいいと思う。署名活動とか、各都道府県連の『反対だ』という声があがってくるのは、抑えなきゃいけないんだったら、『もう辞める』と早く言った方がいい。ただ、石破さんは、実はこの後トランプさんと関税交渉で合意のための首脳会談をやりたいと模索してるんです」
石破総理は元総理3人との会談後、「出処進退について話していない」と述べましたが、自民党が苦境に立つ中で、続投は本当に可能なのでしょうか。
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年7月23日放送)