事実上の「政権選択選挙」となった今回の参院選。自・公が過半数割れという国民の厳しい審判が下された。
一方、北海道選挙区では自民党2、立憲民主党1と与党優位の状況は崩れなかったが、外国人政策を訴える政党も躍進。北海道民はどう受け止めたのだろうか。
政権選択の審判
「痛恨の極み。選挙結果に対する重大な責任を痛感しながらも政治を停滞させないよう、責任を果たしていかなければならない」(石破首相)
参院選から一夜明けた7月21日、改めて続投の意向を示した石破首相。全国では与党が過半数割れする歴史的な展開となった。

高橋氏トップ当選
北海道では、前回に続き自民党の現職、高橋はるみさんがトップ当選を果たした。
「『北海道のために何ができるか』ということをしっかり実現していく。それが2期目の抱負」(自民 高橋はるみ氏)

2議席目は勝部氏
「50万人を超えるご支援いただいた。重みをしっかり受け止めないといけない」(立憲 勝部賢志氏)
2議席目は、立憲民主党の現職、勝部賢志さん。
物価高対策や、教師の盗撮問題が出た教育現場の再整備をと意気込む。

岩本氏が激戦制す
残る1議席は、自民党、国民民主党、参政党による“三つ巴”の激戦に。勝負がついたのは日付が変わった午前2時30分だった。
党の重点候補として組織型選挙に臨んだ自民党の現職、岩本剛人さんが滑り込んだ。

「(議席の)重たさをかみ締めて、必ず北海道のために全力でこれからも頑張る」(自民 岩本剛人氏)
4番手に約8400票差まで詰め寄られ、自民党への強い逆風を感じた選挙戦だった。
「ほんと大変な選挙戦。(開票が)午後8時に始まって5番目だったので。『ここまでやって5番目か』と。やった分だけちゃんと結果が出た」(自民 岩本剛人氏)

参成党が躍進「台風の目」に
「1、2、参政党!」
3議席目の争いを最後まで繰り広げたのは「日本人ファースト」をキャッチコピーに戦った参政党の新人、田中義人さん。
保守系の不満票の受け皿として、選挙全体の情勢を左右する文字通り「台風の目」に。
無党派層も取り込み32万5000票あまりを獲得したが、既成政党の牙城は崩せなかった。
「有権者の関心事は経済対策や物価高にあった。そこのところもしっかりとアピールしていくべきだったのかなと反省している」(参政 田中義人氏)

一夜明け、田中さんは街頭で支援へのお礼を述べ再起を誓う。
「北海道から一石を投じたと思っていますし、波紋は必ず広がってこれが大きな波になるように、皆さんと一緒に継続して努力して活動を続けて参りたいと思います」(参政 田中義人氏)

与野党の混戦模様は比例でも
与野党の混戦模様は比例でも。
裏金問題に揺れ、苦戦ぶりを訴えていた自民党の現職、橋本聖子さんは、早々に6期目の当選を確実に。

ムネオ劇場再び
一方、投票締め切りから8時間30分たった21日午前4時30分ごろには…。
「もう選挙には出ませんから。7月21日の私の発言はひとつのけじめ。いわゆる終止符の発言だ」(自民 鈴木宗男氏)
自民党の元職、鈴木宗男さん。
当選は厳しいとみて、政界引退の意向を明らかにした。

ところが―
「バンザーイ」
「天から『鈴木宗男、お前にはまだやり残した仕事がある。使命を持って働け』と言われた思いだ」(自民 鈴木宗男氏)
正午ごろになって最後の1議席を獲得したことが判明!
どん底からはい上がるまさに“ムネオ劇場”に、娘の貴子衆院議員も「持っている」と祝福した。

北海道民の受け止め
結局、選挙区では自民2、立憲1の構図は変わらなかったが、全国的には野党が躍進した参院選。
北海道民は、どう受け止めたのだろうか。
「与党も選挙の結果を受けて減税を考えていってもらいたい」(寿都町に住む40代男性」
「子どもを育てたくなるような社会になっていってほしい」(苫小牧市に住む30代男性)
「バレーボールをやっているんですけど、他のチームにも外国人がいてすごく優しいし、全然悪いイメージがないので、外国人政策が良い方向にいくのか、悪い方向にいくのか気になる」(富良野市に住む20代女性)
「石破首相に任せていて良くなっていくのか、代わった方が良くなるのか読めない」(札幌市に住む60代男性)

全国的に野党が躍進「結果の差は紙一重」と専門家
全国的に野党が躍進する中、北海道では何が起きたのか。
そして今後の生活はどうなるのか。
「国民民主党と参政党がきれいに票を二分する形になって自民党の岩本さんが“漁夫の利”を得るような形で当選した。両党は北海道でかなり伸長したと見るのが適切だと思う」(国学院大学 山本健太郎教授)
現代日本政治に詳しい国学院大学の山本教授は、北海道でも全国で躍進した野党の勢いが見られ、結果の差は紙一重だったと分析した。

急速に支持を拡大した参政党 今後の見通しは?
その中で急速に支持を拡大した参政党。今後の見通しは?
「この現象は一過性ではなく、これからも続いていく形になるかもしれない。(政策は)評判が得られそうなものに飛びついて過激な方向で訴えるやり方だった。政策の洗練というか、どこまで現実的なものに落とし込めるか」(国学院大学 山本教授)
衆議院に加え参議院でも「少数与党」となった自公政権。私たちの生活への影響はどうなるのだろうか。
「一番あり得るシナリオは“給付も減税もやる”という方向ではないか。(消費減税は)早くても来年度。場合によっては次の年度も考えられる。何事も意思決定まで時間がものすごくかかるので、かなり気長に待たなければならなくなるだろう」(山本教授)
