岩手県内でも2025年はクマの出没件数が2024年を上回っていて、7月には大船渡市では海を泳ぐクマも目撃されました。
専門家は、夏はクマにとってエサが少ない時期だとして注意を呼びかけています。
大船渡市三陸町扇洞漁港付近の海を泳ぐクマの映像。4本の足を使い、犬かきのような形で泳いでいます。
この映像は7月2日午後1時ごろ撮影されました。
撮影者に気付いたのかカメラの方に目を向ける様子も見られます。
野生動物の生態に詳しい森林総合研究所の大西尚樹さんに映像を見てもらいました。
森林総合研究所東北支所 大西尚樹さん
「クマが泳ぐのはそんなに珍しいことではない。たぶん森林の方から来て何か目的があって泳いでいたと思う」
このクマが泳いでいた理由は分からないものの、一般に夏のクマには次のようなことが言えるといいます。
森林総合研究所東北支所 大西尚樹さん
「夏はクマにとって一番エサが少ない時期。普段は標高の高い所にいるけれど夏だけ降りてくる個体もいる」
一方、6月27日に北上市の専大北上高校の防犯カメラがとらえたクマの映像では、道路を渡って校門から敷地に入ると、自転車置き場付近をゆっくりと進み、その後、グラウンド付近を駆け抜け姿を消しました。
この様子に大西さんは「おびえている様子も特に感じないので、ちょっと慣れてしまっているかもしれない」と話します。
県内で目撃が相次ぐクマ。
県のまとめによりますと、2025年4月から6月までの出没件数は1562件で、2024年を100件以上上回っています。（2024年比＋123）
また7月に入り北上市でクマに襲われた女性の死亡が確認されるなど、2025年度の人身被害は7月20日時点で12人で、2024の年の同じ時期に比べ6人多くなっています。
大西さんは、人が住む地域の近くにいるクマは深夜に活動する傾向が強いとした上で、この時期、特に2つの点に注意が必要と語ります。
森林総合研究所東北支所 大西尚樹さん
「まず音を出す。こちらの存在に気付いてもらう、クマの方が耳がいいので」
大西さんは朝の散歩などの際には、クマ鈴やラジオを使い音を出しながら行動してほしいとしています。
そしてもう一点について大西さんは「ごみは朝出しましょう。夜の間に出してしまうとその臭いで町内自体に呼び寄せてしまう」と話します。
クマを呼び寄せないようにするためには、ごみの出し方にも注意が必要です。
被害を防ぐために、まずは私たち一人一人の心がけが大切と言えそうです。
