参院選の取材にあたった安楽記者とお伝えします。
よろしくお願いします。
美川キャスター:自民党が強い保守王国・鹿児島に激震が走る結果でしたね。
はい、まずはこちらをご覧ください。
過去の鹿児島県の参院選の結果なんですが、改選議席が1になった2001年から全て自民党の候補が勝ってきました。しかし今回は初めて立憲推薦の尾辻さんが勝利を収めました。
美川キャスター:その要因はどこにあったんでしょうか?
まずは尾辻さんが事実上の野党統一候補となれたことが大きかったと思います。当初、立候補を表明していた共産党の女性が公示5日前に尾辻さんの支援に回ることを決めました。
これに加えて推薦する立憲民主党は、公認並みの態勢で続々と政党幹部を鹿児島に送り込み、尾辻さんを支えました。
出口調査の結果を見ると、立憲民主党を支持する人の9割近く、そして共産党を支持する人の8割近くが尾辻さんに投票しているため、野党支持層をしっかり固められたことが見て取れます。
坪内キャスター
こちらの調査でもう1つ注目したいのは、自民、公明、どちらも3割余りの人が尾辻さんに流れたと言っていいかもしれませんが、こうなりますと、なぜ保守王国とも呼ばれる鹿児島で園田さんが票を伸ばすことができなかったのか、ということになりますがいかがでしょうか。
まず一つ目は自民党の地盤固めが進まなかったことが挙げられると思います。こちらは衆院選の区割りを表したものです。
1区と3区は青の立憲民主党、2区と4区は赤の自民党がそれぞれ議席を持っています。今回、園田陣営としては議席を持っているこの2区と4区で差をつけたいところでした。
しかし今回、尾辻さんが勝った地域を青、園田さんが勝った地域を赤に色分けすると2区と4区のエリアでも尾辻さんが上回る地域が多くあります。そして森山幹事長のお膝元である鹿児島県霧島市や鹿屋市でも園田さんは勝つことができませんでした。
前回の参院選ではこの2つの自治体で、自民党候補がそれぞれ1万票近く差をつけて勝っていただけに、園田さんにとっては厳しい選挙となりました。
坪内キャスター
今回園田さんが及ばなかったもう一つの要因はなんでしょうか?
はい、参政党に吹いた追い風です。
今回、自民党が勝てなかった鹿児島県霧島市、鹿屋市の得票数を見てみます。
霧島市では2番手の園田さんと3番手の牧野さんはほぼ互角の1万5千票、鹿屋市でも牧野さんは1万票以上を獲得しています。
さらに県内一番の大票田である鹿児島市でも、園田さんと牧野さんの差はわずか2000票でした。
参政党は保守層からの支持を受けると言われているため、参政党が躍進したことで自民党が上積みできる可能性があった票が取れなかった可能性があります。
坪内キャスター
得票数を見ても参政党の躍進であったり、保守層が流れたということが見て取れますね。今回のこの参院選の鹿児島選挙区では、自民党が議席を取ることができずに、そして鹿児島選出では初の女性国会議員誕生ということになりました。
改めて今回の鹿児島選挙区を振り返ってどんなことを感じましたでしょうか?
はい、まずは今回の選挙、そして今後の政権について専門家の声を聞きました。
山口大学(鹿児島の政治に詳しい)・山本敬生准教授
「事実上の政権交代が起きたと考えている。自民党は野党の協力なしには政権運営できない。野党の政策を丸のみするくらいの気持ちで野党の意見に耳を傾けなければならない。一方の野党も自分たちが政権を担当しているんだという気持ちで自民党に対して積極的に政策提言をして自民党を動かしていくと、それくらいの覚悟と緊張感を持って政治に取り組んでほしい」
今回の参院選は物価高対策という私たちにとっても身近な話題を中心に論戦が繰り広げられ、投票率も上がり政治に関心を持った人も多かったと思います。
今後、与党も厳しい国会運営が予想される中で、鹿児島を代表して国政の舞台に立つ尾辻さんは、選挙戦で訴えたことをどう実現していくのか?尾辻さんには県民から厳しい目が向けられていることをしっかりと心に止めて、鹿児島のために働いてほしいと思います。
以上、安樂記者の解説でした。