2024年に行われた都知事選や兵庫県知事選をきっかけに、選挙におけるSNSの影響力は、急速に拡大しています。有権者は、一体、SNS選挙にどう向き合えばいいのでしょうか。

20日に迫った参議院選挙の投票日。宮城選挙区では、1議席をめぐり現職1人と新人6人による、激しい舌戦が繰り広げられています。

その選挙において今や欠かせないものとなっているのが「SNS」です。
AIやビッグデータを活用し、独自の世論調査を行っている、JX通信社の代表取締役米重克洋さんは、今やSNSは、選挙の勝敗を左右する影響力を持っていると話します。

JX通信社・代表・米重克洋氏
「薄く広く、わずかな数%の票を集めるっていうのが、ここ10年あまりのネット選挙の基本的なアプローチだったんですけれども、去年から起こっていることっていうのは、数十%、数割の票を動かす、獲得をするという事のためのネット選挙。それができるようになったことが、候補者にとっては決定的に、重要なターニングポイントだったのではないかなと思います」

仙台放送では、今回、独自に宮城選挙区に立候補した6人の「X」を分析。
公示日前の1週間は各陣営、数十程度の投稿に留まっていましたが、7月3日の公示日以降は、すべての候補者の投稿数が大幅に増加しました。

また、公示日以降の各候補者の投稿内容を「政策」「他党・他の候補への発言」、「私生活」「スケジュール」「リポスト」「その他」に分類し、傾向を探りました。

政治団体、チームみらいの新人、角野為那氏は、主に選挙戦の日程について多く投稿。

れいわ新選組の新人、石井義人氏は、党本部や支持者の投稿のリポストが大半を占めました。

立憲民主党の現職、石垣のり子氏は、選挙戦の日程のほか、一部、ほかの候補に関する投稿もありました。

参政党の新人、ローレンス綾子氏は、全体の2割が政策に関する投稿で、これは、6人の中で最も高い割合でした。

自民党の新人、石川光次郎氏は、半数近くが日程の周知で政策関連は15パーセントほどでした。

NHK党の新人、前田太一氏は、他の党や候補に関する投稿が、6人の中で最も多くなりました。

一方で、今回の宮城選挙区では「選挙とSNS」をめぐり、こんな事案もありました。
NHK党の前田氏が今回の選挙ポスターに、立憲民主党の現職・石垣氏の過去の週刊誌報道に関する内容を記載。これに関して、石垣氏は事実無根だとして名誉毀損の疑いで、刑事告訴しましたが、前田氏はそのポスターに関する動画をXに投稿しました。

この投稿との関連性は不明ですが、前田氏のXのフォロワー数は、動画を投稿した3日から4日にかけて、一気に229人増加。
ほかの候補の増加数が、数十人ほどに留まる中、突出した数字となりました。

「公益財団法人明るい選挙推進協会」の調査によりますと、近年の国政選挙で、政治や選挙の情報源としてインターネットと答えた人は、すべての世代で増加。18歳から49歳まではおよそ半数に上りました。

実際、街で聞いてみると…。

19歳大学生(SNS派)
「TikTokで流れてきて選挙はこういう感じなのかという感じで情報を入手しています」

19歳大学生(SNS派)
「僕もSNSなんですけれど、いまYouTubeで発信しているインフルエンサーが選挙に行こうって発信している方が多くて、そういうところで情報を得ています」

50代会社員(新聞)
「一番信用しているのは新聞ですね。やっぱり情報が間違いないと思っています。YouTubeも見ますけれど、どうしても切り取りがあるので」

手軽に情報を得られるSNS…。
一方で、誰でも、何でも発信できるという特性から事実に基づかない情報が広がっているリスクもあり、JX通信社の米重代表は、情報を受け取る側の意識が問われていると指摘します。

JX通信社・代表・米重克洋氏
「テレビとか新聞であれば、情報があってるか間違ってるかっていうのは、出す側の責任なわけですよね。極論、何か事実関係が間違ったニュースを伝えたりしたら、記者とかデスクの方とか、処分される可能性もある。ですから出す側が責任を負ってるわけですが、SNSの情報っていうのは、信憑性を確認するのは見る側の責任。だから、インフルエンサーが間違った情報を発信したからといって、責任取って発信をやめたケースなんか見たことない」

また、SNSを利用しているとアルゴリズムの仕組みによって、利用者の興味がある情報ばかりが表示されるようになる「フィルターバブル」にも注意が必要と話します。

JX通信社・代表・米重克洋氏
「ある意味アテンションを集める情報が入ってきやすい。そういった特性を理解したうえで、あまりそれに振り回されず、距離を置いた情報収集をしてくことが大事だと思います。それができない人は、そもそも(SNSを)使わない方がいい」

SNSと正しく向き合う…。1票を投じる前に、改めて、立ち止まって考える必要があるのかもしれません。

仙台放送
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