2026年2月に開幕するミラノ・コルティナ冬季オリンピック。連続のメダル獲得を狙うノルディック複合の渡部暁斗選手と弟の善斗選手、初の出場を目指す女子ジャンプの丸山希選手を取材しました。
新潟県妙高市のジャンプ台で6月18日、ノルディック複合・白馬村出身の渡部暁斗選手(37)と弟の善斗選手(33)が練習に励んでいました。五輪に向け強化合宿中です。
渡部暁斗選手:
「最後に五輪っていう大きな舞台で奇跡的なパフォーマンスをみなさんにもう一度お見せして、それを最後の締めにできたらすごくいい終わり方だなって」
暁斗選手は2014年のソチ五輪で銀メダル。その後、平昌、北京と3大会連続で個人種目でメダルを獲得しました。さらに、北京では善斗選手らと一緒に団体でも銅メダルを獲得しました。
日本のエースとして活躍してきた暁斗選手ですが、新シーズンを最後に引退する意向です。今回の五輪を「集大成」と見据えています。
渡部暁斗選手:
「ここ3シーズンくらいは、自分で納得できるようなパフォーマンスは全然発揮できていなくて、渡部暁斗ってこういうレースしていたなっていうようなレースをまた見せたいなというのが一番の目標」
善斗選手と一緒に何本もジャンプを飛びフォームやバランスを入念にチェック。
コーチ:
「頭が前の方に行き出している」
渡部暁斗選手:
「このくらいまでは意識しているんだけど。課題だらけですね。改善点が山積みなのでどれからクリアしていこうかなって感じ」
ジャンプの後はクロスカントリーのトレーニング。
標高差1000メートルをローラースキーで登り、約1時間30分で15kmを走破しました。
渡部暁斗選手:
「きょうは暑かったので結構疲れていますね」
渡部善斗選手:
「暁斗選手が上手に走るのでそのリズムに合わせながら自分のテクニックと照らし合わせて走れた」
五輪まで7カ月。渡部兄弟は「最高のパフォーマンス発揮」、そしてその先にあるメダル獲得を目指します。
渡部善斗選手:
「ここまでの成績を残してきた選手の終わり方は兄弟とか関係なく選手としてもすごく興味はあるので、それを近くで見させてもらっているのはすごく貴重な経験をさせてもらっていると思う」
渡部暁斗選手:
「1日1日、1分1秒を大切にしながら、シーズンに向かっていきたいと思っていますし、自分が目指している最高のパフォーマンスの先にメダルというものがあればいいなと思う」
18日は女子ジャンプ・野沢温泉村出身の丸山希選手(27)も練習を公開しました。
丸山希選手:
「気持ちよく飛べたジャンプもあったり、今の課題と向き合えたジャンプが出せたかなと思います」
国内トップレベルの実力ですが、これまで五輪出場はありません。
小学校4年生の時にジャンプを始めた丸山選手。恵まれた体格を生かして力をつけ、日本トップレベルにのし上がりました。
しかし、北京五輪を控えた2021年、悲劇が襲います。大会で着地した際に転倒。左膝前十字靱帯や外側半月板の損傷など重傷を負ったのです。五輪出場は叶いませんでした。
丸山希選手:
「出られないよとなった時は、ショックだとか悔しさだとか、いろんなものがこみあげてきた時間もあったんですけど、手術という道を選んで、リハビリにその年は専念したんですけど」
気持ちを切り替えリハビリに専念し競技に復帰。翌シーズンのワールドカップでは自己最高位の2位。世界選手権でも4位に入り、見事な復活劇を果たしました。
丸山希選手:
「『やっと飛べた!楽しい!』という気持ちで復帰1シーズン目は飛ぶことができました」
復帰シーズンで好調だった理由は実はけがをした時のジャンプ。
丸山希選手:
「人生で一番いいジャンプが試合でできたんじゃないかなというのがあの転倒したジャンプですね」
その時の記憶を持ったまま過ごせたことが良かったということです。あの時のジャンプの再現を目指し練習しています。
けがを乗り越え悲願の大舞台へ。丸山選手は不屈の闘志を燃やしています。
丸山希選手:
「五輪では、自分の目指してきた舞台で、金メダルを目指して飛びたいと思いますし、前回出られなかったからこそ、支えてくださったたくさんの方に、応援してもらえるようなジャンプができるように、日々トレーニングを重ねていきたい」