北海道札幌市で2024年2月、コンビニで店員3人が殺傷された事件。殺人などの罪に問われていた男の懲役30年の判決が7月16日に確定しました。7月9日に男の弁護人が判決を不服として控訴していましたが、その後、本人が控訴を取り下げたということです。
住所不定、無職の宮西浩隆被告(45)は2024年2月、札幌市北区のコンビニで店員3人を刃物で次々と襲い、40歳の男性を殺害、ほか男女2人に大ケガをさせた罪に問われていました。
札幌地裁で6月23日から行われた裁判の争点は、宮西被告に「刑事責任能力」を問えるのか。事件当時、宮西被告は妄想型統合失調症による妄想や幻聴があり、その症状がどこまで犯行に影響したかが争われました。
検察側は「妄想で追い詰められたとはいえ、自らの意思で犯行を実行している」ことから宮西被告に責任能力を問えると主張。懲役30年を求刑しました。
一方で弁護側は「妄想の力が圧倒的で、客観的に判断できなかった」として宮西被告は刑事責任を問えない”心神喪失”だったと無罪を主張しました。
7月2日、札幌地裁の井戸俊一裁判長は「無差別的な犯行で、人命を軽視する被告の考えが表れていて厳しい非難が妥当」として、宮西被告に求刑通り懲役30年の実刑判決を言い渡しました。
判決から1週間後の7月9日、弁護人が判決を不服として札幌高裁へ控訴。期限だった16日を前に控訴に踏み切りました。
しかし、その2日後、宮西被告が自ら控訴を取り下げていたことが明らかになりました。札幌地裁によりますと、11日に宮西被告自ら作成した控訴を取り下げる内容の書類が届き、札幌地裁は15日付けでこれを受理しました。
さらに、検察が16日に上訴権を放棄したため、その日のうちに宮西被告の懲役30年の刑が確定しました。
宮西被告の弁護人によりますと、控訴した9日時点では宮西被告も同意していましたが、その後、宮西被告の自らの判断で取り下げたとみられています。宮西被告から控訴を取り下げたといった連絡はなく、弁護人が状況を把握した15日以降に面会したということです。UHBの取材に対し、弁護人は「コメントは差し控える」としています。