参議院選挙・関西の注目選挙区です。今回取り上げるのは“かつてない戦い”となっている大阪。

「維新が2議席、自民・公明が1議席ずつ」という構図が続いてきた中で、「参政党」が情勢を動かす存在となっています。

■直近3回は同じ構図 「風が吹きにくい大阪」に風は吹くか!?

目指すは4つの議席。そこに19人が立候補した大阪。

2016年以降、直近3回の参議院選挙は、全て同じ構図の結果になっていました。

維新2人、自公1人ずつの不動の席。

しかし今回、この「風が吹きにくい大阪」にある異変が…。

FNNが7月12日から13日に、電話で行った世論調査で見えてきました。

日本維新の会・新人の佐々木理江さん(42)と激戦を繰り広げているのが、参政党・新人の宮出千慧さん(40)。

2人のあとを自民党・新人の柳本顕さん(51)、公明党・現職の杉久武さん(49)、維新のもう一人の新人、岡崎太さん(57)、そして国民民主党・新人の渡辺莉央さん(30)が追う展開となっています。

これまでの“指定席”に座っていた各党から聞こえてくるのは「危機感」。

【維新】「4人枠のところに2名を当選させるのは、至難の業なんです」
【自民】「当選圏内、全然入ってない」
【公明】「この参院選、大変厳しい選挙となっております」

熾烈な大阪の戦いは今…。

■情勢動かす「参政党」

今回、府民から最も気になると回答があった選挙の争点、「物価高対策」で候補者を比較します。

なんば広場を埋め尽くす聴衆。参政党の新人・宮出さんの応援に来た、神谷代表目当てに集まった人たちです。

その”きっかけ”を聞いてみると…。

【参政党支持者】「YouTubeで自分の心に刺さって、じじいなりに燃えるんですよ」

【参政党支持者】「きっかけはSNS、YouTubeとかですね。(これまで)選挙行かなかった理由は、難しい言葉でしゃべられるから分からない。(でも)神谷代表を聞いてると、分かる」

参政党はSNSを活用し、これまで政治に関心がなかった人にも支持の幅を広げています。

消費税の“廃止”と、米の高騰に対応した農業支援を訴える宮出さん。輸入に頼らない食糧生産を目指すとしています。

【参政党・新人 宮出千慧候補】「私たち参政党、『日本人ファースト』の政治、まずは日本国民の懐を豊かにする。お米も手に入らなくなって、備蓄米が底を尽きたらどんどん輸入に頼って、ロシアとウクライナが戦った時、なんでロシアは生き延びられたんですか?あれはなぜかと言ったら、エネルギーと食糧がちゃんと自国で作れたからじゃないですか」

「日本人ファースト」のスローガンや、神谷代表の「高齢女性は子供を産めない」発言などへの抗議の動きも含め、動向は注目を集めています。

■立て直し目指す「自民党」

議席を守りたい自民党。

7月1日、自民党・新人の柳本さんが参加したのは、選挙戦に向けた作戦会議。

大阪市議を5期務めた柳本さんを支えるのは、元同僚の市議たちです。

大阪では維新に連敗している自民。立て直しを図りたいところですが…。

【自民党大阪市議団 柳本顕幹事長(当時)】「歴史と伝統ある大阪市がなくなってしまうかどうかが決まるのです」

10年前、維新が打ち出した「大阪都構想」に、反対の立場で先頭に立っていた柳本さん。

“反維新の人”というイメージだけを持たれることが多く、それを課題と受け止めて、今回打ち出すのが…。

【自民・新人 柳本顕候補】「まさに“ニュー柳本”として、今回の戦いに臨んでまいります」

維新に“反対”するだけではなく、政権与党として経済政策を推し進める実行力をアピールします。

【自民・新人 柳本顕候補】「物価上がるということは、所得そのものが減ってしまうことにほかならない。現金給付と併せ持って、懐が温かくなる状況へ導くべく、政治が責任を持って対応することが必要」

物価高対策として掲げるのは現金給付。

若者の街にも繰り出し、これまで維新に流れていた“浮動票”や“若い世代”の票を狙います。

【自民・新人 柳本顕候補】「若い世代の人たちにも心を寄せているよ。積み重ねをすることによって、自民党は変わろうとしているんだということを示せたら」

■負けられない戦い「公明党」

連立与党の公明党にとっても、絶対に落としてはならない1議席。前回の衆院選では“常勝大阪”で維新に屈辱の“全敗”でした。

【公明・現職 杉久武候補】「昨年の衆院選の厳しい結果もあるので、何としても負けられない重要な選挙になる」

今回、唯一の現職候補で公認会計士などの資格を持つ杉さん。全面に押し出すのも“お金”に関わる政策です。

【公明・現職 杉久武候補】「減税なのか給付ではありません。減税も給付も両輪で物価高を乗り越えていく」

そして、消費税については・・・。

【公明・現職 杉久武候補】「消費税は社会保障を守るための大事な財源。簡単に下げたり上げたりするものではない」

「”食料品”に限定した」減税を打ち出します。

大阪でのリベンジに燃える党幹部たちも応援に駆け付けますが、なかなか人は集まらず。

支持層の高齢化による、組織力の弱体化が課題になっています。

【公明・現職 杉久武候補】「大阪をどう変えていくかを自分らしく訴えて、有権者の皆さんに届くように」

■2人当選目指す「維新」

大阪がお膝元の維新も安泰ではありません。

維新選出の国会議員の1人が参政党に、もう1人は国民民主党に離党。その影響が読めない中、2人の新人が立候補しました。

大阪市議を4期務めた岡崎さんはこれまでの実績をアピール。

猛暑の中、有権者一人一人との対話を大事にします。

【維新・新人 岡崎太候補】「暑い言いだしても、しょうがないから、暑さと戦ってるわけじゃないんで。個々の人にお会いできるのが一番ありがたいんで、街宣車乗ってると通り過ぎちゃう」

与党の「給付」政策を批判し、「根本的な経済政策」を訴えます。

【維新・新人 岡崎太候補】「現金の給付、これは6年連続で行われています。度々、付け焼刃の改革が行われている」

もう一人の候補者、佐々木さんも同様、「給付はするべきではない」と主張します。

【維新・新人 佐々木理江候補】「私たちは目先の1票を追わない。1票がほしければ、お金をばらまけばいい。でも、ばらまき政治は絶対にやらない」

「社会保険料の引き下げ」を掲げ、手取りを増やすことが物価高対策につながるとアピールします。

佐々木さんも元大阪市議。市外に知名度を広げようと、地元の維新議員の支えを受けながら、府内全域を駆け回っています。

【維新・新人 佐々木理江候補】「お疲れ様です」
【大阪府民】「高く感じる?社会保険料」
【大阪府民】「あんまわからん」
【維新・新人 佐々木理江候補】「それが答えですよね」
【大阪府民】「天引きなのでわからない」
【維新・新人 佐々木理江候補】「でもずるいですよね。天引きだから少しずつ上がってるから分からない」

今回も2人の当選を目指す維新ですが、情勢調査では佐々木さんがリードしている状態。

毎日、府内各地の施設で演説会を開き、票の分散に向けて呼びかけを続けています。

【維新・新人 佐々木理江候補】「投票用紙1枚目は、岡崎太候補と佐々木理江、ご家族でしっかり分けていただけたら。ありがとうございます。きょう1うけました」

■最年少が挑む「国民民主」

「収入の壁」の国会議論で存在感を見せた、国民民主党が擁立した医師の渡辺莉央さん。30歳で国政選挙に挑戦です。

【国民・新人 渡辺莉央候補】「103万円の壁を所得制限なく、178万円に引き上げること。ガソリン暫定税率を廃止して、ガソリン代を引き下げること。この2つの政策を実現することで、皆さんの手取りが増える夏にしたい」

大阪を重点選挙区に位置付ける国民民主党。6月末から玉木代表が4回も来阪しています。狙うは初の大阪での議席です。

■19人が争う4議席 ゆくえは

さらに、立憲民主党からは橋口玲さんが立候補しています。

【立憲・新人 橋口怜候補】「皆さまの声で、消費税を減税する減免する。そんな道を歩んでいきたいと思います」

共産党からは清水忠史さんが立候補しています。

【共産・新人 清水忠邦候補】「45%から50%に食料自給率を向上させ、安心しておかわりの言える大阪の食卓を取り戻しましょう」

れいわ新選組からは、椛田健吾さんが立候補しています。

【れいわ・新人 椛田健吾候補】「不景気だからこそ、消費税の廃止を一貫して訴えてきた、れいわ新選組を椛田健吾を選んでいただきたい」

古参か新しい風か。真夏の激戦が続きます。

(関西テレビ「newsランナー」2025年7月15日放送)

参院選・大阪選挙区には19人が立候補しています。

立候補しているうち、まず10名はこちらの写真のみなさんです。
(届け出順)

立候補しているうち、残る9人ははこちらの写真のみなさんです。
(届け出順)

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