全国各地でクマの出没が相次ぎ、北海道では男性が死亡する被害もありました。岐阜県内の観光施設の近くでも7月13日に、クマが目撃されています。なぜ、この時期、クマの出没が増えたのでしょうか。

■クマ目撃で「臨時休館」 全国で出没相次ぐ
岐阜県揖斐川町の観光施設「藤橋城」の近くにある歴史民俗資料館に14日、クマへの注意を呼び掛ける張り紙が掲示されました。

揖斐川町藤橋振興事務所の馬渕真二所長:
「歴史民俗資料館の裏手で来場者の方が目撃された。クマの方から人を見て逃げていった」
13日午後2時40分ごろ、来場者が敷地内にいるクマを目撃し、スタッフから役場に連絡がありました。けがなどはありませんでしたが、施設は午後3時半で臨時休館とし、役場の職員がパトロールするなど警戒を強化しています。
馬渕所長:
「国道417号の冠山峠道路が開通して、福井県側からのお客さんが増えていますので、ちょっと心配です」
全国で出没が相次ぐ「クマ」。12日未明、北海道福島町で、新聞配達員の男性がクマに襲われ、住宅街の近くにある藪の中で遺体で見つかりました。

目撃した男性:
「砂利の音がして、新聞を入れたんだなと思って、叫ぶ声が聞こえて玄関のドアを開けたら、目の前にクマが人間の上にかぶさるような形の状態が見えた」
新潟県糸魚川市では13日午後、ひとりで山菜採りをしていた70代の男性がクマに襲われ、頭をかまれたほか、腕にケガをして病院に搬送されました。
■学校の近くでも目撃…屋外の授業を変更も
岐阜県高山市でもクマの目撃情報が相次いでいます。JR高山駅からおよそ2.3キロ、周辺には住宅が点在する県立飛騨特別支援学校では…。
飛騨特別支援学校の長瀬美智代教頭:
「そちらにクマがいるのを見ました。クマの大きさにびっくりして、本当に怖いなと思いました」

6月に教頭をはじめ学校の職員らが、隣の建物の玄関前にいるクマを目撃し、7月9日にも…。
長瀬教頭:
「あちら側に畑があって斜面のところにクマがいたということで、警察の方が爆竹を鳴らして追い払っていただいた」

高山市では6月下旬からクマの目撃情報が15件寄せられていて、7月9日には民家が集中する場所で目撃が相次いだことから、クマ被害対策本部を設置しました。
学校でも、屋外の水遊びの授業を室内でできる別の内容に変更したほか、徒歩や自転車で登校する生徒には保護者に送迎を依頼するなど、対策が進められています。
相次ぐ目撃情報に、近くに住む人は…。
近くに住む人:
「夏休みに入るのに、子供たちが外に遊びに行けないのがすごく残念だなと」
近くに住む子供:
「怖くて寝られない」
高山市は被害対策本部の設置を受けて、メールやSNSに加え、広報車両を走らせるなどして注意を呼びかけています。

高山市農政部の松井ゆう子部長:
「クマは臆病な動物なので、驚くと逃げていく場合が多いんですけども、とにかく目を離さずに後ずさりしながらそっと遠のくことをしていただきたいと思います」
■相次ぐ『クマ』の被害に…猟銃の使用条件を見直し
全国で“クマ”の被害が相次いでいます。新聞配達中に襲われたり、岩手県北上市では自宅にいた81歳の女性がクマに襲われ死亡するなど、山間部だけでなく、最近は人が住んでいる街中でも被害が出ています。
“市街地”に現れたクマについて、2025年9月から、“一定の条件を満たせば”自治体の判断で、市街地で猟銃を使って駆除できることが可能になります。そのガイドラインが公表されました。

人間の日常生活圏では、農地や河川敷など安全確保ができる場所で、住民の避難や通行の制限をしたうえで、市町村の職員が緊急銃猟の委託を依頼し、ハンターが撃てるようになります。
今回の見直しで、この他にも例えば「クマが建物に侵入した場合の銃猟」「夜間での銃猟」なども可能になります。
ただ、逃げ出したクマを追跡しているとき、そのクマに出会ってしまった場合、安全確保がとれていないので「緊急猟銃」にはあたりません。
(東海テレビ)