■不適切指導で40代男性教師を停職6か月の懲戒処分に
北海道札幌市の小学校で不適切な指導で複数の児童が不登校になったなどとして、札幌市教育委員会は男性教師を停職6か月の懲戒処分としました。
処分を受けたのは札幌市立小学校の特別支援学級の40代の男性教師です。
男性教師は2016年度から2023年度にかけて、勤務した2校で複数の児童に体罰や不適切指導をしたほか、同僚教師へパワハラ行為をしました。
市教委によりますと外部による調査で発覚したのは10件以上の複数児童への体罰や「不適切指導」とされる行為。
「幼稚園に戻れ」との暴言や、過度な宿題の提示、児童の作品を「やり直し」と言って破り捨てたほか、給食時間中にもリコーダーの練習を強制させるなどの行為が発覚しています。
さらには学校へ行き渋る児童をパジャマ姿のまま自宅から手首を引っ張って連れ出し車に乗せていました。男性教師はこの行為で「暴行罪」で罰金10万円の略式命令を受けています。
これらの男性教員による行為によって、指導を受けていた複数の児童が不登校になりました。
男性教師は調査に対して「児童の自立を促すために厳しい指導が必要だという信念を持っていた」などと話しているということです。
■不適切指導を市教委に訴えた女性教師はパワハラ受け、その後自殺
また今回、男性教師の不適切指導を市教委などへ訴えていた同僚の女性教師に対する侮辱など「パワハラ行為」も認定されました。
女性教師は2023年に自殺。7月11日の市教委による会見では、パワハラとの関連について「自殺までに少なくとも4年6か月経過していて、因果関係を認めることは困難」とされました。
市教委は各事案の発生当時、多くの事態を把握していて「当時の対応は不十分だったと認めざるを得ない」としました。
処分を受けた男性教師は7月11日付で退職。市教委は再発防止策を示し今後取り組んでいくとしています。
■自殺した女性教師の遺族「停職6か月の処分は、あまりにも軽すぎる」
<女性教師の遺族のコメント(一部抜粋)>
「6カ月の停職処分とのことですが、娘の受けた被害や、お子さん方が受けた精神的・肉体的苦痛を考えると、あまりにも軽すぎる処分と言わざるを得ません。校内では男性教師の教育方針がまかり通っていて、逆に娘が目を付けられ、パワハラ被害を受ける結果となりました。また、管理職や市教委へ言っても全く聞いてもらえないことにも絶望していました。今回の調査で、体罰・不適切指導が認定されたとのことですが、氷山の一角に過ぎないと思います。当時速やかに男性教師の言動を調査していれば、多くの児童が被害を受けることは防止できたと思います。また、娘が命を落とすこともなく、大好きな教員という仕事を続けられたのではないかと思うと、本当に無念でなりません。なぜもっと早く調査してくれなかったのか、その思いは一生拭えることはありません」
■児童の保護者たち「あまりにも遅すぎる対応だった」
<児童の保護者のコメント(一部抜粋)>
「まずは、私たちが訴えた内容が認められたことについて安堵しております。男性教師が、女性教師へパワハラを行っていたこと、当該女性教師が亡くなっていたことを知ったときには大変驚き、怒りを覚えました。もし私たちが声をあげなければ、誰かの命が失われなければ、市教委は動くこともなく、男性教師はなんのお咎めもなく教壇に立ち続けていたのかと思うと、あまりにも遅すぎる対応であったと言わざるを得ません。我が子が苦しみ、親として葛藤を繰り返してきた時間は戻ってきませんし、子どもが受けた心の傷も簡単に癒えるものではありません。市教委、学校関係者の皆様には、二度と同じ思いをする児童生徒、教職員が出ないように、本件を真摯に受け止めていただきたいと思います。最後に、女性教師が、自らパワハラ被害を受けながらも、子どもたちのために声を上げてくれていたことについて。私たちは皆、先生の勇気ある行動に感謝の思いでいっぱいです。そして、先生のことを心から誇りに思っております。この場をお借りして、心よりご冥福をお祈り申し上げます」